「 2021年12月 」一覧

2021年の振り返り

2021年の振り返り

 2021年も最終日となりました。  実感としては、この一年はとてもはやかった。  穏やかな一年にするために、荷物を降ろしたはずなのに、結果としてはより様々な意味での余裕を失った一年、特に後半でした。それを証明したのは毎年30日前後に生じる体調不良。今年もご多分に漏れずといった感じでした。  とはいうものの1日くらいは余裕を取り戻そうと、朝から大みそかと正月用の食材を買いに行き少しだけ気分転換。自宅に戻ってきて一息ついてから、これを書いています。個人的には激動の一年であったし、来年どうすべきかの整理もしたいという思いがあり、内容としては純分ではありませんが、それでも振り返り日記を書いてみたいと思います。 ■第一四半期  1月ですが、正月は精神状況としてはどん底の時期でした。  2020年12月28日に愛息子である愛猫が二歳弱という短命で急逝し、喪失感でボロボロでした。当日まで元気に駆け回っていた子が突然大量の胆汁を吐き、急速に力をなくしていって、わずか2日で逝ってしまいました。最後は救急施設にて小さい全身に管を入れられ、何度も蘇生のための心臓マッサージを受ける姿をただた...

実践ソフトウェアエンジニアリングに関する今後の講演等

実践ソフトウェアエンジニアリングに関する今後の講演等

実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)についての記事を何件か書きましたが、いよいよアドベントカレンダーも明日で終了です。 書籍に関する登壇についてはすでにアドベントカレンダーの記事でも触れられていますが、2021年内は「ET & IoT 2021 米国修士課程ベストセラーに学ぶ体系的ソフトウェアエンジニアリングの必要性~DX, AI, MaaS, …に惑わされない実践的エンジニアリングアプローチ~」や「BPStudy#172〜ソフトウェアエンジニアリングを学ぼう」の2つがあり、大きな反響がありました。結果、書籍は在庫切れということになっているようです。どちらも水野さんと金子さんの素晴らしい発表によるものと思います。 ということで、今回はとても簡単な内容になりますが、2022年もこういった活動を続けていく予定でおりますので、現在決定済みのSEPA関係者による登壇予定2件をご案内しておこうと思います。 2022年1月22日:シノプシス殿セミナー 【パネルディスカッション】世界標準のソフトウェア工学書「実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)」翻訳の舞台裏 シノプ...

実践ソフトウェアエンジニアリングと他体系の更新状況、体系の受け取り方

実践ソフトウェアエンジニアリングと他体系の更新状況、体系の受け取り方

実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)については、日々状況が気になってSNSをついつい検索してしまいがちです。今のところはポジティブな感想をいただいており、ほっと胸をなでおろししております。誤植についてもいくつか情報をお寄せいただいておりますが、こちらは今後の重版時に修正が可能かもしれませんので、見つけた方はぜひ情報をお寄せいただければと思います。 さて、これまで小生は本書について記事を公開していきましたが、昨年から今年そして来年と他の体系についても最新版がリリースされており、それぞれ大きな変化がありました。これまでの主だった体系の公開時期を示します。(スライドから引用します) 小生が個人的にソフトウェア開発三大BOKと読んでいるPMBOK、SWEBOK、SQuBOKの更新状況を図にしたものです。 いかがでしょうか、2020年~が当たり年であることがわかると思います。2020年々末にSQuBOKのV3がリリースされ、2020年に入って業界をざわつかせたPMBOK7thがリリースされました。そしてまもなくSWEBOK V4 が公開される予定(?)です。本書を含めたこれだ...

ソフトウェア工学に関する大きな誤解、体系は財産である

ソフトウェア工学に関する大きな誤解、体系は財産である

実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)の記事も気がつけばそれなりの量になっておりりますが、記憶が新しい今しか書けない時期だと思うので、他の方の枠を奪ってしまって恐縮ですが書いてみようと思います。 本書についてもそうなのですが、「ソフトウェアエンジニアリングは大切だ」「ソフトウェア工学は全員が勉強すべきである」ということを人に話すと多くの場合「学者のお勉強でしょ。現場は違うんだよ。」と言われます。実際に本書を読書中の方も「勉強」という意識である方が少なからずおられるのではないでしょうか。 そこで、小生がとても好きな言葉を紹介したいと思います。 ドラッカー先生の「創造する経営者」という本の一節にこんな言葉が挙げられています。主文字にしている部分、とても良いですよね。小生はこの一節を否定できるほど人間としては成熟しておりませんす。だからこの感銘を受けた一節を信じます。なお、ソフトウェアエンジニアリングとか体系、BOKの否定派の方々にこれを紹介すると、皆さんほとんどドラッカー先生を敬愛しておいでなので急に考え方を転向していただけます。特に経営層ですね。 次に榊原さんがお寄せ...

体系を使った、組織や個人の技術力成熟度判定

体系を使った、組織や個人の技術力成熟度判定

実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)には売れ行きが好評のようで、初刷りはもう底をつきかけているようですね。amazonでは法外な価格がついていますがどうぞ買わないようにお願いします。おそらく年明けに重版かけてくださるのではと思います。 さて、本記事ですが、「読む」という以外の使い方を簡単にご紹介したいと思います。これについてはET & IoT 2021 での講演でも軽く紹介した内容になります。 本書は、ソフトウェアエンジニアリングの体系ですが、その目次を利用して、ソフトウェアエンジニアのエンジニアリング技術力の成熟度判定モデルとして利用することができます。この方法の利点は簡単にまとめると次のようなものがあります。 簡単に、すぐに取り組める 目次をそのまま評価項目とする ETSSと併用するために、フレームを合わせる 個人に入力してもらうことそのものが学習効果を生じる 非常に簡単なことで、ITSSやETSS、Test.SSFのフレームに目次を貼り付けて、同じように判定するだけです。具体例をスライドから引用します。 いかがでしょうか。章節...

実践ソフトウェアエンジニアリングを新人教育で配布した思い出

実践ソフトウェアエンジニアリングを新人教育で配布した思い出

実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)について今月は(プロモーションの目的もありますが)いくつか記事を書いてきましたが、今回は第9版ではなく第6版についての思い出を、少し書いてみようと思います。 実践ソフトウェアエンジニアリング(第6版)については、入手以来ヘビーに活用させて頂いた書籍で、この本と最初に出会ったときの衝撃は忘れられません。 「入社してそれなりにたつけど、俺はザコだった・・・」 という気づきです。 以降、普段書籍には絶対にペン入れしない私が、三色ボールペンを入れるわ、付箋は貼るわで、「理解できないところ」「初めて見た単語」「理解が怪しいところ」と三色に分けてアンダーラインを引きまくったのを覚えています。結局この第6版は都合5冊ほど持っているに至ります。(読み込み用、自宅用、会社用、社内貸し出し用×2) さて、本題ですが、この本、とても価値を感じていたので、所属していた最初の会社では「新人全員に配るしかない」と、実際そうしていました。その思い出話しを少しだけしようと思います。 当時小生は社内でソフトウェア開発技術に関する社内研修講師を業務の一つとして作り...

実践ソフトウェアエンジニアリングによるリラーニングへの誘い

実践ソフトウェアエンジニアリングによるリラーニングへの誘い

実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)の入手から2週間がたち、すでに読破した方もちらほら見かけます。本書は二段組みの構成でしかもページ数が多かったので大変だったと思います。(とはいっても読みやすさ等の観点から原著から落としている部分もあるので、原著はもっと大変なのですが) さて、多くの方は一周したところでおそらくこんな感想が得られたのではないでしょうか。 「一通り開発を経験し勉強もたくさんしたはずなのに、案外知らないことが多かった」 これがどうして起こるかというと、主に次のようなことが原因です。 体系知識の更新をしてこなかった 知識入手と経験(実行検証)のサイクルを回してこなかった ドメイン特化しすぎた 以前の記事でも「体系は更新されるものである」ということを述べましたが、本書や多くのBOKのように定期的に更新されるものは常に追っておかないと、すぐに知らないことばかりになってしまいます。世の中の常識は変わり続けることは皆さんも日々の生活で実感していると思いますが、体系においても同じことがいえようと思います。 知識入手と経験のサイクルですが、知識とい...

実践ソフトウェアエンジニアリングにおける体系の変遷

実践ソフトウェアエンジニアリングにおける体系の変遷

 本BlogやSNS等で告知していた通り、「実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)」 が2021年12月1日に無事出版されました。(ぱちぱちぱち!めでたい!)  本書は日本語翻訳版として、第4版、第6版が存在しておりまして、このうち第6版を所持ししている方も多いのではと思います。「どう変わったの?」と気になる方も多いと思いますので、本記事では国内で翻訳版が発売された第4版・第6版・第9版がどのような変化を遂げているのかを目次レベルで見てみたいと思います。  まずは2000年に国内出版された第4版の目次です。 第4版(日本語版2000年) 第1部 製品とプロセス  第1章 製品  第2章 プロセス 第2部 ソフトウェアプロジェクトの管理  第3章 プロジェクト管理の理念  第4章 プロセスとメトリクス  第5章 ソフトウェアプロジェクトの計画立案  第6章 リスク管理  第7章 プロジェクトのスケジューリングと追跡  第8章 ソフトウェアの品質保証  第9章 ソフトフェア構成管理 第3部 ソフトウェア工学の伝統的手法  第10章 システム構想設...

実践ソフトウェアエンジニアリング第9版が発売となりました!

実践ソフトウェアエンジニアリング第9版が発売となりました!

私も翻訳者の末席に加えていただいていた「実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)」が本日2021年12月1日に無事発売日を迎えました! 訳者陣が素晴らしく、内容ももちろん素晴らしいものとして仕上がっております。 どうぞお手に取っていただければと思います!   ※左が紙版、右が電子版

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