「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の18日目です。
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17日の記事では,Chapter8「テスト実行 ~テストログとインシデントレポートを書こう~」を取り上げましたが,テスト実行ログを手作業でとるのはなんだかんだ大変です。今回は簡単なTIPSを紹介したいと思います。
※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。
■テスト実行効率はどれだけ細かい作業を自動化できるかが鍵
テスト実行効率を改善したい場合,すぐにテストケース実行ツールを導入したくなりますが,ちょっとまってください。それだけが解ではありません。実行そのものだけではなく,記録の手間や記録の分析をどれかけ省力化できるかということも大切で,それの改善はかなりの効果を生み出します。
テスト実行という言葉から,実行のみだけをイメージすることにならないようにすることが大切です。
■実行ログを自動記録する
今回は1つだけ紹介をいます。
現在ではテストケースの実行時にはその手順やスクリーンショットを残しエビデンスとするということが求められることもありますが,スクリーンショットを手作業で保存していくのはかなりの手間がかかります。しかしながら,地道に手作業でやっているところが実に多いです。
これを改善するために自動記録ツールの導入を検討するのですが,ベンダにより発売されているツールは高機能で便利なのですが,それなりのコストがかかります。しかしながら,ソフト開発がその企業に於いて相対的に地位が低い場合やマネージャや管理者がソフト開発について明るくない場合など,残念なことに導入コストを許可してももらえない現場も多いと考えています。そうすると導入がためらわれるでしょう。とてももったいないですよね。
■ステップ記録ツール(問題ステップ記録ツール)とは
Windows7以降に限りますが,追加のコストなしにテストログの自動記録に取り組むためのツールをご紹介します。あまり知られていないことがとても残念なのですが,Windows7以降,操作記録を残してくれる「問題ステップ記録ツール」がOS標準機能として提供されています。この機能を使うだけで,テスト時のエビデンス記録の効率向上に大きく役立ちます。
[blogcard url=”http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows7/how-do-i-use-problem-steps-recorder”]
この機能を立ち上げるには,コマンド「psr」をたたきます。
そうすると,ツールが立ち上がります。
インタフェースはとてもシンプルです。記録の開始と停止,コメントの追加の3つの操作しかできません。ですが,シンプルであるが故に「誰にでも使える」という教育コストの低さもあります。インストールすら必要なくコマンドをたたくだけで起動する手軽さがありますので是非一度試されると良いと思います。
■ステップ記録ツール(問題ステップ記録ツール)による自動記録
操作準備ができたら「記録の開始(A)」をクリックして操作開始です。
そして,操作が終了したら「記録の停止(O)」をクリックして記録を停止します。
停止すると記録結果が表示されます。
この記録結果には,操作とそのときのスクリーンショットがステップ記録されています。
(自身のデスクトップ画像などはさらせないため,それについてはご容赦(^^;)
この記録はzipで圧縮された形で保存ができますので,テストケースNoをファイル名にするなどすればそのまま操作エビデンスとして利用できます。
あまり知られていない機能ですが,OS標準機能でコストもかからず操作も簡単ということもあり,手っ取り早く使うにはおすすめです。
■おわりに
詳細にはMS社のサイトを参照していただくとして,参照しなくてもすぐに伝えるくらいの難易度なので,ぜひ試していただければと思います。
今回の記事で少し触れましたが,大小にかかわらずテストに関するあらゆる作業は改善できる可能性があります。マインドマップから始めるソフトウェアテストではソフトウェアテストという仕事・作業を対象に書かれています。技術先行では技術やツールを入れることが先行してしまい,必ずしも作業を楽にしないどころか大変にしてしまうことが多々あります。そういった思考でもテストを勉強していただけると良いのではないかと思います。