TPI NEXT ざっくり要約 ~その1 「まえがき」

 テストプロセスの能力改善技術その1~その3までの記事で,TPIおよびTMMiの概要を取り上げました。本連続記事ではそれを踏まえた形でTPI NEXT®(以下TPI NEXT) を取り上げます。

 ただしご注意が一点です。ざっくり要約とあるように,内容はざっくりとした内容にとどめます。あくまで書籍を読む前の予備知識としてお使いいただき,詳細については2015年9月に発売となる日本語版をご参照いただくようお願いいたします。


 TPI NEXT はテストプロセスの能力改善技術その2で取り上げたTPIの新版です。このTPI NEXT は本記事が掲載される一週間後に日本語翻訳版の発売が予定されています。書籍の情報については以下から参照してください。

 ★トリフォリオ/TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善
  http://www.trifoglio.co.jp/user_data/tpi_next.php

  発売は2015年9月20日が予定されていますが,SQiPシンポジウム2015の会場で先行発売されるとのことです。早く欲しいという方は一足先に会場で購入するのも良いでしょう。

 さて,このTPI NEXT 日本語版ですが,本Blogでは「どこよりも早いTPI NEXT ざっくり要約」を数回に分けて掲載します。また,その記事内容を使ったTPI NEXT 勉強会も開催予定ですのでお楽しみに。(勉強会は準備ができましたら別途記事にてご案内します)


 では,さっそく「TPI NEXT ざっくり要約」を始めます。第一回は第1部の解説に入る前に目次構成やまえがきについて紹介します。

 まず,TPI NEXT の目次構成を見てみましょう。TPI NEXT の目次構成は以下のようになっています。 メインの内容は第1部~第4部に分けられ,それぞれに章が設けられている,全8章構成となっています。

  • まえがき
  • はじめに
  • 推薦の言葉
  • 第1部 TPI NEXT とは
    • 第1章 テストプロセス改善は次のステップへ
    • 第2章 テスト作業とTPI NEXTの位置付け
  • 第2部 BDTPIモデル
    • 第3章 BDTPIモデル
    • 第4章 キーエリア
  • 第3部 テストプロセス成熟度の改善
    • 第5章 BDTPIの一般的な変更プロセス
  • 第4部 ビジネス主導の改善
    • 第6章 ビジネス主導のテストプロセス改善(BDTPI)
    • 第7章 さまざまな状況へのBDTPIモデルの適用
    • 第8章 実践で価値を証明するBDTPIモデル
  • 付録
  • 用語集
  • 参考文献
  • Sogeti社について
  • 翻訳者プロフィール

 全体は316ページと,内容の割にはコンパクトにまとめられています。そのうち第1部~第4部は約206ページと,付録等を考えなければさらにコンパクトな内容で,テスト技術の基礎知識があれば半日から1日でざっと読めてしまいます。

 第1部は「TPI NEXT として」として,TPI NEXT についてその位置づけや考え方について述べています。

 第2部は「BDTPIモデル」として,オリジナルのTPIモデルの改善版であるBDTPIモデルの考え方や構造,およびBDTPIモデルが持つ16のキーエリアについて解説しています(キーエリアについてはTPIの記事を参照ください)。

 第3部は「テストプロセス成熟度の改善」として,BDTPIモデルの実際の使い方について解説しています。意識づけやゴールの設定,アセスメント,改善施策の決定や立案実施,再評価という一連のプロセスが示されます。

 第4部は「ビジネス主導の改善」として,ビジネス側面からのBDTPIについての解説や,反復開発やアウトソーシングやオフショア等での考え方や対応について解説しています。

  全体の印象として,どれかの章だけを取り上げてそこだけ読めばよいという内容ではありません。一通り最後まで読み通した上で,その導入について検討したほうが良いでしょう。筆者はまだTPI NEXT の導入経験はありませんが,もしTPI NEXT を導入するということになると,第三部を基本として,それぞれのプロジェクトや現場の特性に近いものを第四部から探して参考にし,具体的な策については第二部で解説されているモデルを使って立案するという感じで使うのがいいのではと思います。もっとも実際に使ってみないと,本当のところはわかりませんが(このあたり,著者や翻訳者に質問したいところです)。


 さて,まえがきについてみてみましょう。翻訳者である薮田和夫氏による巻頭言を見ると,TPI NEXT の特徴について簡潔に述べられています。

 『本手法は自己評価することを目的にしており、主に第三者による評価を目的としていると思われる他の標準とは大きく異なる。また、成熟度はビジネスの目的やソフトウェアの性質によって著しく異なるため、クラスタの定義をテーラリングすることを勧めている点も見逃すことができない特徴である。(TPI NEXT 日本語版 巻頭言から引用)

 「自己評価」に利用するされ,また,ビジネスの目的やソフトウェアの性質に合わせて自分たちでテーラリングが必要としているというのがTPI NEXT の特徴です。前版であるTPIの特徴を引き継ぎつつ,よりビジネス目的を意識すること,そして新しい概念としてクラスタが導入されています。個人的にはTPIを知っている人からすると素直な進化のように感じることができるでしょう。

 また,このTPI NEXT ではISTQBとの整合が進められました。Paul Hermelin氏の「Paul Hermelin, CEO Capgemini S.A.によるまえがき」を見ると,『TPI NEXTはテスト 作業をISTQBに完全に整合させ、その他のソフトウェア品質手法とも整合するよう取り扱うことができた。』と述べています。これが何を意味するかというと,ISTQBの資格保持者にとってはこのTPI NEXT は読みやすい(理解しやすい)ということであり,また,TPI NEXT を読むため(理解するため)の前提知識としてISTQBが求められるということを意味します。


 「TPI NEXT ざっくり要約」の第一回は目次構成やまえがきについて紹介しました。TPI NEXT の全体像や特徴をざっくり理解できたでしょうか。  次回は第一部について,簡単に解説を行います。

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