JaSST’19 Hokkaido で講演させていただきました

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去る2019年8月30日にJaSST’19 Hokkaido で講演の機会をいただき、札幌まで行ってきました。

JaSST Hokkaido はソフトウェアテストに関するシンポジウムで、今回は札幌市教育文化会館で開催されました。テーマは「マインドアップ ~テスト設計技法を知っていたら十分と思ってないかい?~」でした。

とても貴重な機会をいただいて得るものもたくさんでしたので、実行委員会へのフィードバック、自身の記憶に残したいなとBlogを書くことにしました。

打診から講演確定

実行委員から最初にお話しをいただいたのは、2月に開催したNaITEの勉強会の場でした。
いけどーん、ねぇー、話さない?
そんなやわらかい感じで打診いただきまして、基本的にはお声がけいただいたお話は断らないので「私でも貢献できる内容であれば喜んで~」とお伝えしました。
この時点では候補者は複数おられたようでしたが、最終的には、3月の「改訂新版マインドマップから始めるソフトウェアテストが4月に発売」というリリースが決め手になってご依頼いただきました。(4月にご連絡いただきました)

まさかの基調講演です。

講演内容の検討

ここからが自分的には大変でした。

当初いただいていたのは「テストプロセスの上流について、できれば事例も交えながら」ということだったのですが、今回は所属はASTERなので直接的に現在の所属の情報は直接的にはお伝えできません。そのため、前々職時代からこれまでの経験から、抽象化した内容を盛り込むか口頭にて補足するということにしました。もともと個人的にはたんなる事例紹介にはあまり積極的ではありません。事例はそれはそれで強力な情報なのですが、ある企業やプロジェクト、現場のコンテキストがあってこそ成り立つ情報です。聴講者それぞれがコンテキストやバックグランドが異なる状況では、その事例はそのままで活用することはよほど事例のテーラリングに慣れている方ではないかぎり活用できませんし、害悪になってしまうこともあると感じています。最初の打ち合わせ時点では事例もということだったのですが、後の議論も踏まえて、必要に応じて、ということにしました。(生々しい事例系の話はポスターセッションで対応することにしました。そして実際生々しい話をしました。)

また、メインテーマが発表されたとき、「マインドアップ!? え? マインドの話するの俺!?」とめちゃくちゃ驚きました。この時点ではすでに講演者情報は掲載されていましたので、「マインドの話なら、私は適切ではないかもー」とお伝えすることもできません。どうしたらこのテーマに対して対応できるかを、あれやこれやまる一ヶ月くらいタイトルとアブストラクトをあれこれ作っては消し作っては消しということを繰り返し、最終的にページに掲載されたタイトルとアブストラクトに落ちつきました。

一般発表であればメインテーマにはできるだけ沿うことは考えるにしろ合わせこむということはそこまで考える必要は無いと思うのですが、今回いただいた機会は「基調講演」です。私の理解では「基調講演は会の目的や方針、テーマにのっとって、以降の講演にて共通的・中心的な内容を扱う」です。ですので、この象徴的なキーワードにも対応するのは必須です。そしてあれこれ考えながら辿り着いたのがこのタイトルとアブストラクトというわけです。

講演資料作り

タイトルとアブストラクトが自分として腹落ちしたところで資料の作り込みです。

荒いアウトラインは作っていましたが、まずはスライドタイトルレベルで全体を作り上げていきます。全体のストーリー展開を作り込むとともに、必須のスライドと補足スライド、時間があれば触れるスライド、当日話の理解を助ける参考情報と色づけしていきます。まずは必須のスライドをくみ上げ、残り時間でその他を可能な限り付け加えていきます。今回は実行委員会からは改訂新版マインドマップから始めるソフトウェアテストに関連した話題を取り上げることを暗黙的に期待されていましたので、テスト上流についての対応はマインドマップを使った分析設計を取り上げることしました。これは過去にお話ししたスライドもありますのでそれをベースにチューニングしました。それ以外の新規のスライドとしてはテスト設計技法(最新のJSTQBではテスト技法という訳名に変わっていますね)についてのあれこれ、テスト分析前のお話を作成しています。また、マインドアップに向かっていく話として技術向上のための話題を追加します。ここでは強く主張はしてませんが、さらっとTPI NEXTを使った事例も(事例と言わずに)紹介しました。テスト設計技法を活用するためには本を読むだけでは不十分すぎるという主張はどこかに入れたかったのです。

関東地域で日々テストの勉強会やイベントなどテストの情報に日常的に触れているテストのエキスパートの方には当たり前だよねーという内容も多分にあるとは思うのですが、関東に比べ情報の流通量が少ないであろう北海道の技術者の方々にフォーカスした結果、技術よりもなによりも、まずは心構えと段取り、実務や業務の現実、として気をつけておくべき事をお伝えするべく資料に盛り込むことを心がけました。いくら技術を細かく知ろうと、それが明日からの実務改善につながらなければこの講演の意味はないと思うからです。(その思いは「必殺技症候群におちいるな」などちりばめています)

前日入り、会場下見、再会

北海道には前日入りしました。

実は北海道には学生自体に二年間住んでいました。また、JaSST Hokkakidoではなく JaSST Sapporo であったときに東京実行委員会からの応援メンバーとして参画していたり、チュートリアルを担当したり、パネルディスカッションに飛び入りさせていただいています。実に12年ぶりくらいの札幌に、新千歳空港に降り立ったときになんとも言えない感情がわきあがってきました。

新千歳空港からは、偶然同じ飛行機に登場していた、今回のセッションも担当されるかおりっとさん、ブロッコリーさんと札幌まで近況報告など行ないながら移動、ホテルにチェックイン後には会場の下見およびPC接続チェックです。とても良い会場だなと思うとともに、翌日に向けて緊張が高まり気が引き締まる思いです。
また、このとき、ゲストチュートリアル講師としてご協力させていただいたワークショップのオーナーである、日本ナレッジ社の吉田絵理さんと金丸優介さんにご挨拶させていただきました。今回はNaITEとしてもTA(ティーチングアシスタント)としてご協力させていただいており、岡野麻子さんと角田俊さんが参画しています。JaSSTについては、東海でのポスターセッションや東京でのコミュニティブースの出展、九州での協賛というかたちでご縁を持たせていただいておりましたが、今回はセッションそのものについて、TAという関わりですが、ご協力させていただくという有意義な機会です(協賛もさせていただきました)。このワークショップセッション関係者全員で顔合わせができ、翌日に向けて気分が高まりました。

この下見の後は個人的に楽しみにしていたイベントの1つでした。
学生時代にお世話になっていた大学の先生との懇親会です。すすきののジンギスカン屋さんにて食事をつつきながら、近況報告とか大学教育とかテストについてのお話とかあっという間に時が過ぎ去りました。出身校にはご恩返ししたいので、なんでも使ってくださいとお伝えし、この会は散会しましたが、本当に楽しかったです。ちなみにこのとき一緒に飲んでいた先生は先のWACATE2019夏*1でベストスピーカー賞を受賞した石油王さんと縁がありまして、出身校の近しい知り合いとWACATE、そしてこのころテスト業界の話題を独占していた石油王さんがぐるっとつながったことに、本当に日本って狭いしやっぱ攻めている人はどこかでつながっているなと思いました。

シンポジウム当日

いよいよ当日です。

結局朝方まで資料作りを継続して、睡眠時間はほぼなしという状況です。
札幌入りしてからも実行委員の方々の情熱などに影響されて、ギリギリまで情報を追加できないかともくもくと作業しておりました。(気がついたら朝だった

さて基調講演本番なのですが、朝から緊張しすぎてガッチガチです。

ですが、おーぷにんぐせっしょんにて実行委員長の中岫信さんが固かった場をゆるめてくださり、大変心が落ちつきました。いろいろと思い入れがあるこの札幌でお話する機会、それも基調講演という大役に、お話をいただいてからずっと緊張しっぱなしで、不安に支配されている状況でしたが、会場に笑顔が生まれ、少し落ちつきました。

講演の内容は資料を参照いただくとして、いざ話し始めるとあっという間の90分でして、無我夢中でお話しさせていただきました。私の癖でもあるのですが、終始マシンガントークになってしまい、お聞きになられた方は大変お疲れになったと思いますが、少しでも情報をお伝えできたらという想いからですのであたたかくご容赦いただければ幸いです。

そのお話ししている最中、強く心がけていたのは「我々は実務者である」ということです。なので、補足の情報や解説については、技術の正しさはひとまず置いておいて、現実としての対応に触れる時間を増やしました。まずは眼前の問題や課題を認識し、理想に向かっていくために視野を広げ、強い想いをもって実行することが大切です。念のため、技術の正しさはそれはそれでとても大切なことです。言いたいのはそれだけを優先して業務やビジネスが崩壊するのは良くないということです。企業内エンジニアは技術としての正しさという理想と、営利活動という現実を両立するために、そのバランシングと実行が求められるのだと思っていますし、それを忘れてはなりません。また、基本を強く意識するということです。基本を基礎を大切にするからこそ、工夫や応用が生きてきます。

さて、当日使った講演資料について、多少の隠しスライドをONにしたものが次の資料となります。

予稿集では126スライド、当日が192スライド、そして最終的には204スライドです。
後半は参考資料なので、本編としては173スライドということになります。これを90分で走り抜けたという感じです。

マジ、全力でやったよ。

講演資料については、是非当日の復習資料としてご活用いただければと思います。また、参加できなかった方々におかれましては当日の雰囲気を味わっていただければと思います。
また、資料は勉強会資料として使えるように構成しています。社内勉強会やコミュニティのそれにて、自由にお使いください。

余談ですが、この資料、隠しスライドを全てONにすると320スライドほどになります。全てONにした状況での公開も考えたのですが、講演としての焦点がぼけてしまうし、情報過多ではどこから手をつけてよいか(読んでよいか)に迷うと思い直して、最低限のONにしています。隠しスライドについてはまた別の機会に利用できるといいなと思っています。

それから、講演中は実行委員の小関有香さんにリアルタイムにグラレコを作成いただきました! すごく綺麗にまとめていただき感激です!

※似顔絵が可愛かったので、後日Twitterのアイコンとして提供いただきました!
 こちらも感謝!

基調講演後はポスターセッションで店番を実施、基調講演では質疑の時間が取れなかったので、この時間帯でいくつか質問にお答えさせていただきました。ご質問ありがとうございます。今後の情報交換をご希望の方がいらっしゃいましたが、お気軽にご連絡いただけば幸いです。

ワークショップについては私はオーナーでは無くゲストの立場で参加させていただきました。
基調講演でもお話ししたマインドマップを使ったテスト分析設計について改めて解説するとともに、最後に少しだけコメントさせていただきました。
ワークショップの良いところは、”体感できる”というところにあると思います。そのやり方の良いところも悪いところも、それは聞いただけではわからなくて実際に体験してみないとわからないことです。先の話ではありませんが、技術解説を聞いただけでわかったような気分になってしまい、実際の現場で大失敗するという話を聞くことも少なくありません。こういったワークショップのような”失敗できる”機会を積極的に活用するのも企業所属のエンジニアとしては大切な素養だと思います。
なお、このワークショップと同様のものは12年前に北海道にて実施したのですが、今回北海道実行委員会のお二人に技術移転できて私としてはとても有意義でした。是非北海道の勉強会などで再演していただけたら嬉しいなぁと思っています。それとともに、お二人自身のワークショップとして磨いていただけたら幸いです。

その他セッションにつきましては、それぞれ勉強させていただきました。
どの講演も素晴らしく、本当に参考になりました。いくつかについては早速業務での活用や導入検討を進めているところです。皆さんすごい!

当日の様子については、ネモトさんがTwitterまとめを作成されています。

また、本稿作成時点、次のBlog記事を見つけられましたのでご紹介しておきます。

 どーも、石油王ことはるにゃんです。  2019/08/30(金)に札幌で開催されたJaSST Hokkaido 2019に一般参加してきました。JaSSTとは何か?とか、当日のプログラムや参加者の方々のつぶやきについては以下のURLをご参照ください。 JaSSTソフトウェアテストシンポ...

フィードバックありがとうございました!
皆様、是非当日の雰囲気に触れて、来年北海道に行きましょう!

謝辞

今回のJaSST’19 Hokkaido の対応につきましては、以下の方々の手厚いご支援やご協力をいただきました。

JaSST’19 Hokkaido の実行委員会の皆様。
中岫信様、安達賢二様、猪股宏史様、上田和樹様、岡英仁様、小楠聡美様、金丸優介様、小関有香様、柴田典洋様、下浅大輔様、情野吉紀様、高木進也様、根本紀之様、藤田将志様、水野昇幸様、吉田絵理様、有り難うございました。

NaITEのJaSST’19 Hokkaido ポスターセッションおよびワークショップ対応メンバー。
岡野麻子様、角田俊様。

本当にありがとうございました!

おわりに:今回参加しての感想

ひと言、感謝しかありません。

当日までほんと緊張が高まる毎日だったし、本業とか家庭の兼ね合いとかで準備が大変だったのですけれども、終わってみればお受けして本当に良かったということしかありません。

自身の知識や考えの整理ができましたし、講演資料という資産もできました
でもなにより、お世話になった土地にご恩返しができたことが本当に幸せです。しかもこういった講演という形で。

講演では時間の都合上お伝えできなかったこともまだまだあります。

近いうちに再訪できたらいいな!

※写真は羊蹄山。運良く雲が抜けたところを見ることができました。写真ではなかなか伝わらないけれど、雄大!
※※懇親会及び翌日からの有志のツアーも大変有意義でした。こちらもまた参加したい!

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