2018年11月22日(木)に長崎県美術館にて開催されたソフトウェアテストのシンポジウム「JaSST’18 Kyushu」で登壇しました。
JaSST’18 Kyushu のテーマは「”実践1Day”同値分割の達人」ということで、プログラムもそれを意識したものとなっています。
井芹久美子氏によるワークショップ「ワークを通してじっくり考える同値分割&境界値分析」でテスト設計技法の基礎的かつ最重要とも言える同値分割/境界値分析を基本から学べる内容で、初級者は勿論ベテランにおいてもあらためて技法を学び直せる機会であり、実際に熱心に手を動かしていました。
それを受けた井芹洋輝氏による基調講演「品質・仲間・技術と向き合ってテスト設計技法の力を引き出す」は、無数にあるテスト設計技法をどのようにして適切に選択するのかを事例を交えながら解説でした。チームで力を合わせることが大切であるという主張には聴講者も響くものが多かったようです。
その後、実行委員による様々な取り組み事例が紹介されました。
実行委員長を務める松谷峰生氏による「マンガを用いた業務教育アプローチについて」はタイトルが示すとおり、社内の教育資料をマンガでやってみたら効果があったという内容でした。
吉武伸泰氏による「入力フォームのためのテストデータを同値分割してみる!」では例題アプリケーション仕様を用いてわかりやすく説明されました。
岡崎晃伸氏による「プチReverseVSTeP」では、電気通信大学の西講師が提案するVSTePの試行した経験からのノウハウが提供されました。
小生はというと、一日を締めくくる招待講演を拝命しまして、僭越ながら「単なる仕様チェックを卒業してテスト技術力を高めていくために ~押さえておきたいキホンのキ~」と題して1時間の枠をいただきました。実行委員会からは「盛岡で発表した内容の再演を」というオーダーをいただいていたので、基本的にはそれをベースにして全体を見直したり情報を追加したりしました。しかしながら、出身地である長崎で公演できることの幸せにより気合いが入り、結果、スライドが120ページほどになってしまいました。そういったわけで、当日は10分延長させていただき、かつ早口でということになりました。
講演の内容ですが、アブストラクトにも示していますが、「テスト技術というものについて、それを仕事として何故やるべきなのか、どういった思考でやるべきなのか、どういった技術体系なのか、どのように技術向上していったら良いのか」といったところをそれぞれにイメージを持ち他人に説明できるようになっていただくための一つの型と情報をお伝えするものとしました。個別の技術詳細ではなく、テスト技術が持つ背景や世界に目を向けていただきたかったわけです。背景や全体が頭の中に入っていない状況で技術詳細だけを学んでしまうと、個別最適化に走りがちで全体最適化に発展していきません。初級者に技術講義するにあたっては、特にこのあたりを重要と考えています。ただ、技術詳細はそれはそれでテストを実践する上で大切なことなので、情報を追えるようにポインタを示すようにしました。スライドが多くなってしまったので早口になってしまいましたが、初級者に向けて、初級者が一度に受け入れられる情報量を意識してお話させていただいたつもりです。資料はレポートページに公開いただいていますので、是非復習いただければと思いますし、資料はそのまま社内講義に使っていただけるように構成していますので聴講いただいた方が今度は講師となって社内教育など行なっていただければ幸いです。
以上、地元長崎での講演という素晴らしい機会を与えてくださったJaSST九州実行委員会の皆様には感謝に堪えません。ありがとうございました。