第3部 テストプロセス成熟度の改善 「TPI NEXT ざっくり要約」第四回は,第3部「テストプロセス成熟度の改善」をざっくりと要約します。
まずは第3部の目次を確認しましょう。第3部は一つの章が設けられています。
- 第3部 テストプロセス成熟度の改善
- 第5章 BDTPIの一般的な変更プロセス
- 5.1 気付きを与える(意識付け)
- 5.2 ゴール、スコープ、取り組み方を決定する
- 5.3 現状をアセスメントする
- 5.4 改善を定義する
- 5.5 行動計画を立案する
- 5.6 行動計画を実施する
- 5.7 評価して再方向付けを行う
- 第5章 BDTPIの一般的な変更プロセス
まず最初に???となるのは「変更プロセス」という言葉でしょう。BDTPIを変更するの?と誤解しそうですが,そうではありません。第5章の冒頭に『各テストプロセスの改善は個別の変更プロセスであり,…』とあり,ようするに一連の改善プロセスを変更プロセスと呼んでいます。第5章ではこの一般的な(現状プロセスの)変更プロセスについて,その手順や考え方を整理しています。
BDTPIが示す一般的な変更プロセスは以下です。
- 気付きを与える(意識付け)
- ゴール,スコープ,取り組み方を決定する
- 現状をアセスメントする
- 改善を定義する
- 行動計画を立案する
- 行動計画を実施する
- 評価して再方向付けを行う
この粒度ではあまり特別なことは感じないと思います。定石通りといってもいいでしょう。第5章ではこの変更プロセスについて,ステップごとに,考え方や内容,考えられる行動や成果物について整理しています。
「気付きを与える(意識づけ)」では,改善に関係する人たちを巻き込み,なぜテストプロセスを改善する必要があるのかを認識してもらいます。その際ニーズや目的,利点等を説明するとともに,BDTPIモデルの利用が最良であることを説明して理解してもらわなければなりません。考えられる行動としては「事前の話し合い」があり,成果物として「プレゼンテーションや問題の記述」があります。
「ゴール,スコープ,取り組み方を決定する」では,この改善活動(BDTPIプロジェクト)のゴールやスコープ,取り組み方を決定します。ゴールとは時間とコストと品質の見地から設定できます。ゴールを決定する際,合わせてゴール達成を実証する指標も定める必要があります。また,スコープの選択も重要です。プロジェクトレベルなのか,組織全体なのか,特定のテストレベルか全体か,などです。さらに取り組み方も決めておく必要があります。インタビューの回数や実施者,検討が必要な文書,キックオフの必要性といったことを決定します。
「現状をアセスメントする」では,文字通り現状をアセスメントします。インタビューやドキュメントから情報を収集し,BDTPIを参照モデルにして情報を分析します。強み,弱み,機会,脅威分析(SWOT分析)を実施し最終的に現状を説明した文書を作成します。
「改善を定義する」では,目指すべき状況(短期/中期/長期のゴール)をどのように実現するかを具体的に検討,定義します。ここでクラスタを活用します。クラスタを利用して改善ルートを決定しますが,このとき,SWOT分析の結果を利用します。
「行動計画を立案する」では,改善内容を計画化します。結果として,成果物としてSOW(作業指示書)を作成します。
「行動を実施する」では,計画を実施するとともに,その状況を監視したり調整したりします。計画の予実管理も実施ます。より強力に推進するためには,管理者層が現場へ顔を出したり,プロジェクトの重要性を説いたり,抵抗にもきちんと対処するというステークホルダが自身のコミットメントを示す必要があります。
「評価して再方向付けを行う」では,改善活動の結果を評価します。初期の計画やゴール,要件といったものと比較します。またBDTPIモデルを用いて再アセスメントを行い,どれくらいテストプロセスの成熟度が向上したかを示す必要があります。これにより,再方向付けや新たな施策を立案し,次の改善活動につなげます。
以上,第3部についてざっくりと要約してみました。「BDTPIのモデルを用いた現状のテストプロセスの変更プロセス」について解説されていることを理解してください。あくまでBDTPIを使うという前提のもとに記述されており,一般的な改善プロセスについて記述されているわけではありません。少しややこしいので,理解がぶれないようにしながら読み進める必要があります。
次回は第4部をざっくりと要約します。