【開催レポート】長崎QDG2015  その2:要求仕様記述手法「USDM」ってどんなの? -明日から使えるUSDMのエッセンス-

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 レポートの第2回です。

 今回はこの長崎 SW Quality & Development Gathering 2015 のメインとなるセッションです。

 「要求仕様記述手法「USDM」ってどんなの? -明日から使えるUSDMのエッセンス-」と題して,AFFORDD(派生開発推進協議会)の代表でありUSDMやXDDPの生みの親である清水吉男さんに講義&演習をしていただきました。
AFFORDD様にはこのイベントに共催としてご協力いただいており,本セッションは「AFFORDD共催特別セッション」としています。講師の清水さんにはAFFORDDから講師派遣支援という形で長崎まで来ていただきました。

 この場を借りてAFFORDD様,そして清水様に深く御礼申し上げます。


 セッションは清水さんの自己紹介から始まりましたが,この自己紹介が勉強会参加者に向けた強力なエールでした。

長崎QDG2015_150812_122712.jpg 清水さんは一度モノつくりの業界を去り,植木屋になりました。植木屋ではやることがほとんどきまっており,植木屋としての腕の良さは,その決まっていることをどれだけうまくやれるかということなのだそうです。つまり,経験を積んでいる「どうやっても先輩たちに勝てない」わけです。仮に自分が経験を積んだとしても,その時には先輩たちは同じくらいの経験を積んでいるわけで差はうまりにくいわけです。ただし開発技術は違います。様々な工夫の余地がありますし,追いつくことだってできます。それに気が付き業界に戻る決断をされたそうです。

 モノつくりの業界に戻った清水さんですが,追いつく追い越すため,武器を持つために,3年間徹底的に勉強をしました。そのときの睡眠時間は一日2時間から4時間ほどで,定時に会社を切り上げて,残った時間はすべて勉強に充てていたとのこと。このときに様々な技術に出合い,それを実践,工夫,融合,創生などに取組み,今回扱うUSDMやPFD,XDDPという技術を生み出しました。

 清水さんは聴講者に「自分をかぎることから抜け出しなさい」とエールをおくっていただき,聴講者も大きな刺激を受けたことが表情からうかがい知れました。

 我々は普段なにかしらの組織に属して生活しています。そういった組織には何かしらの”枠”があります。目的だったり責務だったり。知らず知らずに組織に属している自身がその”枠”にとらわれています。”枠”にとらわれると,その外に出るのが怖くなったり,そこに限界を引いてしまいます。これが自分をかぎることの一例です。

 気軽に「自分にはこれくらいしかできないよ」とか「私は〇〇者じゃないのでできません」とかいうのはかぎっていることの典型で,そんなことに陥らないように,定期的に自分を見直すことが大切なのだと居住まいを正す想いでした。


 清水さんの熱いエールの後は本編であるUSDMの講義と演習でした。この講義は次のアジェンダで進められました。

長崎QDG2015_150812_150757.jpg

  • 仕様の問題って?
  • USDMの特徴
  • まず要求を表現しよう
  • 次に要求を仕様化しましょう
  • 画面仕様も同じように書けるよ
  • 品質要求を表現するコツがあります
  • 演習ーちょっとUSDMで書いてみよう
  • おまけ:ところで、派生開発で威力を発揮するUSDMって?

 ソフト開発でのトラブルの原因の多くは仕様に関する問題です。不適切な要求仕様書を根源に持ち,それは仕様モレやあいまい表現という原因を持ちます。また,できてほしいことの「範囲」が見えなかったり,品質要求が十分に書かれていないこともあります。これがその後の「派生開発」で混乱を生みます。

 こういった問題に対してUSDMが一つの解決策となるわけですが,そのUSDMにはいくつかの特徴があります。第一に「要求と仕様を階層構でとらえる」ということがあります。また,「範囲」という考え方を持ち込みます。要求の範囲を狭め,そこに含まれる動詞をすべて表現することで,仕様の抜けや漏れを低減していきます。「動詞」という考えが出てきましたが,これはUSDMは基本的な考えとして「”仕様”は,要求の中の「動詞」および「目的語」に存在する」があるからです。動詞に対して仕様グループを立て,仕様が漏れないように定義していきます。動作を仕様化しているわけですから,それはソースコードに変換できる粒度まで落ちているといます。さらに要求には「理由」を付けます。人は,自分の想いを相手につい耐えることができるとは限らず,それが要求の誤認につながります。理由を付けることで,要求の意味を理解しやすくなり,要求の根拠の有無などに気が付きやすくなります。清水さんによると,要求よりその背景である理由の方が安定しているため,理由を抑えていれば要求は変化しにくいということでした。

 そのような特徴を持ったUSDMですが,USDMでは要求仕様書を「作るたの文書」としています。USDMにおける定義は「「USDM」では,要求仕様書とは,今回のプロジェクトで実現してほしいこと(Requirments)について,”作ることの関係者”が実現内容についての認識を特定(Specify)できている文書」です。そしてそれは機能要求と非機能要求を扱います。似たような言葉に「機能仕様書」があります。要求仕様書と機能仕様書は前者は作る為の文書であり,後者は説明している文書であり,異なるものであるとし,使い分けが必要であるとされました。

 以上,USDMの特徴について簡単に説明があったのち,では実際にUSDMで書くための考え方やコツ,おすすめ方法などが紹介されました。最後の小演習ではFAXの機能を仕様化してみようというものでしたが,参加者は慣れないながら一生懸命に取り組み,気付きを得ていたようです。


 本レポートでは,USDMの実際の書き方については,講演資料が非公開であるため取り扱いませんが,興味がある方はAFFORDD様主催の勉強会が定期的に開催されていますので,是非ご参加いただくことをお勧めします。

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