「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の21日目です。
[blogcard url=”http://qiita.com/advent-calendar/2015/mmtest”]
今回の記事は,第III部Chapter10「PC用のツールを活用しよう」を取り上げます。いつものように読む上で注目して欲しいポイントと補足をします。
※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。
■Chapter10での記述の多くは陳腐化している
このChapter10ですが,8年を経て内容が陳腐化しています。ただし,記述の全てが陳腐化している訳ではありません。紹介したツールの情報が古くなっているため,そういった意味で陳腐化しています。ツールは各自新しい物を探していただくとして,ポイントを紹介しておきます。
■アナログ情報をデジタル情報として変換しておくこと
本書ではマインドマップは手描きを推奨していますが,手描きしているとその成果物として,当然ながら紙に書かれたマインドマップが作成されます。テストの活動の折々に作成されたマインドマップはおそらく,一連のテスト活動が完了したときには数十枚から数百枚の単位となっています。これらをアナログ的に管理するのも良いのですが,デジタル情報に変換することで様々なことがやりやすくなります。画像として取り込んでおくことで,ツールを使って検索したりリレーションを晴れたりしますね。ゲーム開発でよく利用されている素材のマネジメントシステムなどをうまく使うとよいでしょう。
また,現在ではOCRの機能がとても優秀になりました。そういったツールを使って,マインドマップに描かれたテスト観点キーワードをテキスト抽出するなども筆者は時折実施しています。
■マインドマップ作成ツールの利用は気をつけて
これまでマインドマップから始めるソフトウェアを読み進めている方は気がついていると思いますが,一貫して手描きにこだわっています。これは,この本でのマインドマップの使い方を発想重視としているためです。あくまで筆者の個人的な感覚にもなってしまうのですが,手描きは発想をより促進し,ツールは収束をより促進すると考えています。ですので,マインドマップ作成ツールは下手をすると,発想を阻害する事にもなりかねません。発想用途にマインドマップを利用する場合,マインドマップ作成ツールは十分にマインドマップに習熟した人のみが使うことを実感として強く推奨します。筆者がマインドマップ作成ツールを発想目的で利用しない主な理由は以下です。
- 手癖でBSキーを押して発想を消してしまう
- 発送作業中にノードやリーフを入れ替えてしまい,思考の流れを崩壊させる
- 筆圧などによる「ノっている」感が表現しにくい
- イラストなどを盛り込みにくい
- 根本的にはフリーフォーマットではない
逆に収束の場合はマインドマップ作成ツールを活用することはたくさんあります。収束の場合はブレスト的に発想した物事を再構築するということであるために,ノードやリーフを簡単に入れ替えたり,キーワードの表現を改めたりということが得意なツールは威力を発揮します。(といいますか,モデリング作業をやっているのと近いので,モデリングツールを使うことが多いですが。)
マインドマップ作成ツールをどのような目的として使うかで,効果が得られる得られないということがあるので,盲目的に利用しないようにしましょう。これは全てのツールにおいて言えることですね。
とは言っても筆者が利用しているツールは紹介しておきます。
[blogcard url=”http://imindmap.com/ja/”]
[blogcard url=”https://jp.xmind.net/”]
■おわりに
ツールの進化は早くより新しくより便利なツールが次々に登場してきますが,大切なことは「目的を持って使おう」ということです。そしてその目的自体は大きく変化することはないでしょう。本書においてはマインドマップは発想に重きを置いて活用しています。ですから,本書に沿った目的で考えてツールを選択するとよいでしょう。ただ,くれぐれも注意が必要なのはそれ以上に読者の皆さんのテストの現場の事情を優先することです。ツールの利用は少なからずコストなどがかかりますし,ツールを使うことで作業の流れやプロセスが変わります。決してツールの活用が実は足を引っ張るなんてことが無いように,脊椎反射駆動ツール導入だけには陥らないようにしましょう。