マインドマップとの出会いなどなど

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の13日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

13日目!我ながらよく続いています!

ただ,少々息切れしてきましたので,そもそもかつて自分がどのようにマインドマップを使っていたかについて思いだし,一息ついてみることにします。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■マインドマップと出会い

マインドマップに初めて出会ったのは確か学生の頃だったと思います。出会いはもう覚えていませんが,たしか何かの授業で使っている人がいて「落書きしてるや」なんて思った記憶があります。その後しばらく忘れていたのですが,書籍に出会って「あぁそういえばこういうのを見たことあるなぁ」と使ってみることにしたわけです。

■初めてのマインドマップと躓き

初めてのマインドマップですが,これがなかなか難しかったです。皆誰もが通る道「メインブランチが出てこない」に遭遇するわけです。それでもわかりやすいテーマを選んでいうちになんとか書けるようになってきたのですが,そこでようやく気がつくことになります。

なんとなくじゃ描けない。

のちのちマインドマップの正式なトレーニングを受けたとき確信に変わったことなのですが,そもそもセントラルイメージが「ぼんやりイメージだったらなにも出てくるはずが無いと言うことなのです。なのでメインテーマをキーワードを置くなりイメージを置くなりでも,そこにしっかり時間をかけます。自分が具体的なイメージを持てるくらいのことを描くようにします。

テスト分析設計のチュートリアルをやることがありますが,メインブランチが全く出てこないという人がいます。これは即ちテスト対象物についてイメージを持てていないという状況を示しています。ですので,そういった人にはもう一度しっかり仕様書をチェックしながら読むように指導します。

それさえクリアできてしまえばあとは枚数勝負です。いつの間にか描くスピードもあがりますね。

■仕事での活用

仕事では主に何かを考えているときに使っていました。特にテストだけに使っていた訳ではなく,開発の作業でも使っていました。要するにあれこれとメモ書きしながら考え事することに使っていた訳です。入手してからしばらくしてアジャイル系の勉強会に参加することになりましたが,そのころはオブジェクト指向&アジャイル界隈でマインドマップが流行の軽輩を見せていて「おっ,意外に知っている人が多い!」と嬉しくなったことを思い出します。日本国内においてはPC用のツールであるJUDEが果たした功績もとても大きかったと思います。

しかしながら,職場はお堅い感じだったので,あまり周りには広めず個人的に使っていたのが正直なところでしたが,それは開発部門からQA部門に移ってからも変わることがありませんでしたでした。ただし,QAに移ってから活躍の場が広がることになります。

開発は大きな問題領域を狭めていく思考で進めますが,テストや検査はその狭めらものの外に思考を伸ばさないといけません。これがマインドマップの持つ放射と愛称が良かった訳です。当時の個人的な感覚ですが,マインドマップを使わない場合に比較して明らかにテスト観点を思いつく量とバリエーションが豊かになりました。結果として網羅性の高いテストケースを作ることによい影響がありました。以降使い続けていた訳ですが,実はテストの世界の人達はあまりそういった思考のためのツールを使っていないことを知り,JaSST’06 Osaka での発表につながることになります。

■おわりに

今回はマインドマップとの出会いについて少し書いてみました。本書はテストの本なのでマインドマップについてはこのカレンダーでもあまり書くつもりはないのですが,ちょっとしたコツなどについては取り上げてみようと思います。

勉強会参加者におすすめしたいACアダプタ用タップ

筆者は勉強会を開催したり参加したりすることが多いですが,時折困ることがありました。 ノートPCを持ち込んだはいいものの「コンセントやタップの空きがない!」ということです。また,スマホでテザリングしていたらバッテリーがヤバイ!ということも起きます。 そんな困ったことがありましたが,ある物を導入したら一発解決でした。 ACアダプタ用タップ このタップをACアダプタに接続します。 ACアダプタ用タップ-接続 このタイプですと表に2つ口,裏に1つ口あるので,空きに困ることはなくなりますね。自分で使うのもいいでしょうし,タップの空きがなくて困っている方にそっと差し出すと喜んでもらえるかも知れませんね。 勉強会の能率を上げるためにはこういったハックも活用すると良いでしょう。おすすめですよ~。

MM本 第II部Chapter5「テスト計画 ~テスト計画を検討しよう」についてのあれこれ

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の12日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回の記事は,テスト計画についてです。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■テストスケジュール=テスト計画?

テスト計画立ててますか?と質問すると「何言ってるんですか,当たり前でしょう!」といって手渡されたのはどう見てもスケジュール表(ガントチャート)でしたことによく遭遇しましたし,現在もそういった現場が多いように感じています。

この章で伝えたいことはひと言です。

スケジュールはスケジュール,計画じゃないよ!

ということです。

■テスト計画とは?

Chapter5ではまさにこのような展開から新人君にテストにおける計画とはなんぞやということを解説しています。この計画はソフトウェアテストではIEEE829というデファクトのテンプレートが存在します。829でのテスト計画テンプレートを以下に示します。

①テスト計画識別番号
②はじめに(序文)
③テストアイテム
④テストすべき機能
⑤テストしない機能
⑥アプローチ
⑦合否判定基準
⑧テスト中止/視界基準
⑨テスト成果物
⑩テストのタスク
⑪環境要件
⑫責任範囲
⑬要員計画とトレーニング計画
⑭スケジュール
⑮リスクと対策
⑯承認
(引用:マインドマップから始めるソフトウェアテスト p.90~91)

どうでしょうか,スケジュールは計画の一項目として14番目に登場するに過ぎません。テストの作業は実行のみと言う現場に於いてはスケジュール=計画という認識なりやすいですが,テストのリテラシが向上してくるとスケジュールだけの計画では対応が難しくなってきます。なぜならばテスト実行以外の範囲についても計画を立てる必要が出てくるからです。その際に様々な概念を盛り込んで計画を作る必要があり,その整理された一例が829でのテスト計画テンプレートと言うことになります。このChapterを読み進めるにあたっての一番のポイントはスケジュール以外もあって初めて計画であるということです。

■テストの計画は安定しない

さて,計画というと,最初にキッチリ細部まで検討し尽くしてからあとはそのとおりに実行していくものというイメージがあるでしょう。ただしテストに関してはそれがなかなかうまくいかないのです。その原因の1つは開発が進まないと検討できないことが多すぎるということです。例えば仕様書がないのに,テストすべき機能としない機能を検討することは難しいでしょう。ソフトウェアテストの(特にレベルテスト計画)については開発の状況を抑えつつ,同期しながら“育てていく”というつくりかたになります。このあたりは本文でも「ローリングウェーブの計画」を引き合いに出して解説していますので,読み飛ばさないようにしてください。

■マインドマップを書くことで気付きを得られる

本文中ではこの計画の検討をマインドマップを使って実施していますが,途中で気付きを得ていることに注意して下さい。あれ?と思ったときにどう対応すべきか,その一例を示していますので見落としが無いようにすると良いと思います。

■おわりに

今回はテスト計画を取り上げましたが,ひょっとすると「え!そんなことも計画に入れないと行けないの!?」と思った方もいらっしゃるでしょう。念のため,IEEE829のテンプレートは項目が多く重いので活用しようと思ったら河野区の取捨選択をしてもいいと思います。ただし,あまり落としすぎると結局スケジュールだけ計画になってしまうので良くないですね。テンプレートに書かれていることは普段頭の中で決めていることも多いでしょう。ですからそれを文書化するだけなので,実は新たに増える作業ではありません。文書にして他人に見えるようになるとレビューができ,合意もできます。また,自分自身忘れることもありませんね。こういった計画書が整備されていない現場では是非取り組んで欲しいと思います。

国内で実用化されているテスト要求分析技法

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の11日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

前回の記事にて,今では実用化されている仕様分析の手法が登場していることを言及しました。今回はそれらについて簡単に紹介したいと思います。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■IPA発行物におけるテスト要求分析手法

突然テスト要求分析手法という言葉が出てきました,この時点では仕様分析手法と読み替えてください。

先の記事にもあるとおり,2007年当時は仕様分析設計手法は一部のテストのエキスパート以外にはあまり知られていませんでしたが,現在はIPA発行の「高信頼化ソフトウェアのための開発手法ガイドブック-予防と検証の事例を中心に」に掲載されているような以下のような手法があります。

手法名 表現方法 特徴 プロセス
NGT ツリー テスト全体をテスト観点で網羅 VSTeP
FV表 表形式 目的機能の切り口でV&Vを網羅 HAYST法
ゆもつよメソッド 表形式 機能×テストタイプで網羅をチェック ゆも豆
Tiramis ツリー(MM) テストカテゴリ分析を実施。機能はMM。
TAME ツリー(MM) テスト設計施工の可視化とレビューによるテストカント年尾洗い出し及び整理

手法名が変わっているなどあるかと思いますが,検索していただけると沢山の情報を見つけることができます。

■テスト技法からテストメソドロジへの進化を目指して

実は先ほどの手法の提唱者によるパネルディスカッションがJaSST’09 Tokyo のクロージングパネルとして行われています。

タイトルは「テスト技法からテストメソドロジへの進化を目指して」です。
このタイトルからわかるとおり,テストは戦略的に行うべきものであるという強いメッセージが発せられています。

テストというとテストケースを作成することだけに注目があつまりがちですが,エキスパートに於いてはそこはもはやある程度解決された世界であって,全体としてどう有機的に機動的に高品質にテストという活動を動かしていくかを議論をしています。

パネルではメソドロジの領域について議論をしていますが,テスト分析設計という範囲に絞れば現在は「テスト設計コンテスト」が毎年開催されて盛り上がっていますね。この動きから見るにテスト分析設計手法については研究は続きつつ普及期に入っているとみていいと思います。

■おわりに

簡単に仕様分析設計手法について,リンクの引用ベースですが紹介しました。
本書で直接的に取り上げてはいませんが,関連する先進情報として抑えておき,本書を読破後に参照いただくと良いのではないかと思います。

64bit版Firefoxが正式公開(42.0)

なんだかんだでメインで利用しているFirefoxですが,気がつけば64bit版の正式版が公開になっていました。

42.0で始めて正式版が公開となっていますが,TOPにインストーラーは公開されていないため,このディレクトリから各自でDLする必要があります。なので知らない人も多いのではないかと思います。

64bit版に変えたら随分軽くなった印象です。64bit環境にある方は試してみると良いのではと思います。

ちなみに,インストール時にインストールディレクトリを変更しておけば32bit版と共存できます。またプロファイルは共用のようなので,特に設定のインポート操作などせずに移行できました。

ただし,制限事項としてまだflashくらいしか動かないので,あくまで人柱程度に使うのが良いのではと思います。

MM本 第II部Chapter4「仕様分析 ~仕様を分析しよう」についてのあれこれ

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の10日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回はChapetr4「仕様分析 ~仕様を分析しよう」を取り上げます。以前の記事でも敢えて仕様分析という言葉を使っていると解説しました。テスト分析という言葉は初級者には誤解を招きやすいと感じているし,それは今でも余り変わっていないと感じています。このため本記事においても本書に合わせて仕様分析という言葉を使います。ただし,エキスパートの方はテスト分析と置き換えていただいてもよろしいかと思います。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■仕様分析の方法は様々である

この仕様分析ですがテスト設計と並び,未だに定番として定まった方法はないのと思っています。本書執筆当時は仕様分析という考え方がまだまだ知られていませんでしたのでしょうがないところもありますが,現在に至ってもまだまだ研究分野であると感じています。ただし,国内では様々な手法が提案されており,実用化もされています。(次回の記事にて簡単にご紹介します)

本記事はガイドとなる例として2つ紹介しています。ひとつは要件定義書がある場合,そしてもう人は要件定義書がない場合です。分析は対象ドキュメントが存在することが前提ではあるのですが,そうでなかったり情報量が不足していたり欠損していたり,業態に於いては開示されなかったりします。そのため,様々なアプローチを取る必要があります。仕様分析が難しいことの一端はこういったことも影響しており,故に仕様分析のやりかた(手法/技法)は複数知っておくと良いと思います。

■MM本における仕様分析

すでにISTQBや他のテスト分析設計手法を学んでいる方にとっては本章は違和感を生じるところでしょう。本書では「実施するテストの種類を決める」とこまでを仕様分析としているからですね。それはテスト設計なのでは?と思う方もいるかと思いますが,本書に於いてはそのような整理になっていると理解をして下さい。本書での仕様分析は「インプットとなるドキュメントの情報を整理し,今後やるべき(特に検討すべき)テストの種類をテストカテゴリを意識しながら決めていく」と言い換えることができると思います(注:池田的にでは,です)。もう少し言うと「テスト設計を実施する上での方向性が十分に定まっていること」ということです。ですので,決してテスト設計をしている訳ではないことに注意して下さい。

■仕様分析は静的テストの性格も持つ

この仕様分析は文中では明示的に書いてはいませんが,静的テストの性格を持ち合わせています。
開発者が作成したドキュメントをテスト技術者の立場や目線で読み解きながら,テストの世界に必要な情報を変換していく作業でもあります。そのためテストの立場から見たときに設計や仕様の欠陥を発見することがあります。また,欠陥ではないが曖昧であるところも見つけます。情報の欠落に気がつくこともあります。それらは開発工程で実施されるデザインレビューで見つけるのが良いのですが,そのレビューは往々にして開発者が主導し開発のためのレビューになっています。つまりテストのためのレビューではありません。このため仕様分析でテストのためのレビューで見つけるべき欠陥を発見することがある訳です。その際は作成元に連絡し,ドキュメントを修正することで品質の作り込みに貢献する必要があります。また,ドキュメントの品質が向上することで,結果としてテストの品質も向上する訳ですから,仕様分析という作業の重要性をしっかり認識する必要があります。

■おわりに

本書における仕様分析についてポイントの紹介と多少の補足をしました。
仕様分析は「単に仕様書読んでチェックするだけ」と理解されがちですが,この仕様分析をしっかりやらないとあとに続くテスト設計や実装はガタガタになります。そこを強く認識する必要があります。

パーソナル無線の新規免許の受付および再免許の受付が終了

パーソナル無線の新規免許の受付,再免許の受付が終了になったそうです。

 平成23年12月14日に周波数割当計画が変更され、パーソナル無線の周波数を割当てることの出来る期限が平成27年11月30日と定められました。そのため、同日をもってパーソナル無線の新たな免許及び再免許の業務は終了しました。

そろそろコミケの時期になりますがその会場でハンディ機を見かけますね。バイクツーリングで活用している人もいるのではないかと思います。実はパーソナル無線は免許があれば利用できるでとっても利便性が良かったのですね。なので少し残念ではあります。(現在免許を持っている方は期限まで使えます)

さて,あれ?アマチュア無線とは違うの?という疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんね。アマチュア無線は国家資格であり,電波の発信には資格および免許が必要になります。

また,目的も異なり,パーソナル無線は「レジャーや小規模事業者等の連絡用」を目的とし,アマチュア無線は「アマチュア無線局は、無線技術に関する個人的な興味による通信や、技術的研究を行うことを目的としています。」アマチュア業務を目的にしています。

利用する周波数も異なります。パーソナル無線は900MHz帯(ノーマルバンド)が許されており,アマチュア無線は144MHz帯や430MHz帯を利用します。(アマチュア無線の利用可能バンドについては早見表を参照下さい。>http://www.soumu.go.jp/main_content/000329735.pdf

ここでお気づきですね,パーソナル無線は900MHz帯を利用しています。このバンドは携帯電話向けに割り当てられました。そのため,混信の恐れから今回免許の交付が終了ということになったわけです。パーソナル無線はその簡易性から非常に気軽に使えますが,電波法を犯してしまうこともありますので利用の際は気をつけて下さい。もっとも免許が交付されないので,利用することは難しいのですが・・・

 

実は筆者はアマチュア無線技士の資格を持っています。

高校時代に部活の関係でとったのですが,無線交信の世界はまさに世界が広がるという衝撃がありました。イメージしやすいところでは初めてインターネットを使ったときのような衝撃ですね。目の前がぱっと拓けた感覚は今でも忘れられません。まだまだ世界を知らない高校生にはとてもいい経験だったと思います。(ちなみに在籍時代にそのアマチュア無線部でインターハイコンテストを全国優勝したのですよ。もっとも自分はほとんど何もしていないのですが。)

アマチュア無線というと世間ではオタクのイメージが先行しているようですが,しっかりとした技術であり,その知識は仕事でもかなり訳に立ちました。具体的には,通信系のソフト開発でドメイン知識の基礎知識があったのは本当に助かりました。資格試験,しかも趣味の性格が強いものはあまり訳に立たないというイメージがありますが,まったくそんなことはないので,もし興味を持ったら積極的に取り組むと知識の幅が広がって良いのではないかと思います。

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MM本 第II部Chapter3「第II部の流れ」についてのあれこれ

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の9日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回は第II部の最小の章であるChapetr3「第II部の流れ」を取り上げます。このchapetr3は,第II部を進行していくにあたって,取り上げる範囲や(文章/物語としての)設定を解説しています。第II部を読み進めるために,ここもしっかりと読んで欲しいところです。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■取り扱う範囲「仕様分析からテスト報告書まで」

本書では所謂システムテストを対象にして書かれていると理解していただければよいでしょう。そのシステムテストレベルではサブプロセスとも言えるテストライフサイクルを持ちますが,それを章として個別に取り上げて解説しています。

仕様分析 Chapter4
テスト計画 Chapter5
テスト設計 Chapter6
テスト実装 Chapter7
テスト実行 Chapter8
テスト報告 Chapter9

以前の記事でも「何故ここにテスト計画が?」という疑問を持つ方もいらっしゃると思います。計画という作業を強く認識して欲しいという想いがあり,本書ではこのような章立てになっています。ISTQBではテスト管理とテスト開発の作業をわけて整理していますが,本書ではそれと比較と少し違和感を持つと思いますが,どのように整理するかだけの話なので,(プロセス論までふみこます)ここではひとまず紙面構成上の整理と理解しておいてください。

なお,p.65の脚注にこうあります。

※1 このフローは電気通信大学の西康晴氏のアドバイスをいただきました。とくに,分析と計画の分離というアイデアや,テストケースの作成を「テスト実装」と呼んでいるところは,多くの影響を受けています。
(引用:マインドマップから始めるソフトウェアテスト p.65)

脚注のこの表記からわかるとおり,当時はまだテストプロセス(ライフサイクル)全体については様々な議論が行われていました。現在はISTQBや智美塾での議論により収束しつつあると思いますが,まだ2007年当時は一般認識という所まではまだ達していなかったと想像します。

■ケース設定「Webシステムの開発,および登場人物」

さて,本章ではChapter4~9を進める上でケースを設定しています。
本書では大手書籍販売会社「さゆり書房」によるWebシステムのリニューアルを題材にし,アプリケーション開発会社で開発を担当するベテラン技術者とその後輩である新人技術者の二人の会話をベースに解説をすすめていきます。これは読み物としてさらりと読めるくらいにしたかったという著者の意図がります。ですので,とても細かいですが,登場人物には名前をつけていません。各自がロールプレイしてもらうためのちょっとしたアイデアという訳です。(名前がついていると無意識的に他人事と思ってしまうから)

■おわりに

本章はページ数も少ないですが,著者らの狙いが見え隠れする章でもあります。読み飛ばしていただいても問題ないのですが,一度くらいは目を通してもらえたら嬉しいなぁと思います。

マインドマップとテストとのちょっとイイ関係

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の8日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回は過去(2007年に)寄稿した記事を少し手直しして掲載したいと思います。(初出はgihyo.jp向けの記事となります)

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■ソフトウェアテストはクリエイティブな仕事(技術)である

以前の記事でCPM法について触れましたが,まだまだ多くの現場でテストケースを作る際,仕様書に書かれていることをExcelにシコシコと入力し,語尾や数字だけを変更するという単純作業で行っているところが多いようです。そういった作業では勿論作業漏れや思考漏れによってテストケースが抜けることが多くなります。皆さんも実感していることだと思います。

今回はこの狭い範囲でのお話を例に取りますが,このようなテスト作業にマインドマップを使うと,ちょっとイイんです。本記事では,この「ソフトウェアテストとマインドマップのちょっとイイ関係」について,簡単にご紹介してみようと思います。

■ソフトウェアテストはひたすら頭を使う

まず,よくある「テストは頭を使わず,誰にでもできる」は完全に誤解であり,テストは非常に頭を使うクリエイティブな技術であるということを主張して,話を先に進めていきます。

テストを実施する際の情報源となる開発成果物のひとつは,プロジェクトの各局面で作成されたドキュメントです。これらのドキュメント,たとえばシステム仕様書や基本仕様書は,複数人の開発者がよってたかって,頭を使うだけ使って,再三にわたるデザインレビューをくぐり抜けた末に,ようやくできあがります。まさに開発者の知恵のの結晶とも言えるでしょう。一方テストでは,そうした知恵の結晶たるドキュメントを対象に静的テストを行い,またテストケースを作る際のテストベース(テストにおける情報源)とするために深く理解しなければなりません。

テスト技術者が実施するレビューなどの静的テストでは,ドキュメントに潜む仕様の抜けや間違いといった欠陥を見つけなければなりません。開発者が総力をあげて作成した物ですから,開発者以上によく考えないと欠陥を見つけ出すことは難しいでしょう。ただ単純にドキュメントの最初のページから読み進めながら欠陥を見つけ出していく方法では限界があります。

テストケースを作るためには,ドキュメントを基にソフトウェアのどこに欠陥が潜んでいそうなのか予想して(テスト設計を経ながら)テストケースに落とし込まなければなりません。これも開発者の知恵の結集たるドキュメントをよく考えないといけません。単純にドキュメントの文言をテストケーステンプレートに転記しているようでは,欠陥を発見できるいいテストケースにはなりません。

つまり,テストではある意味開発者以上に「よく考える」ということが大事なのですが,この「よく考える」というプロセスはマインドマップとちょっとイイ関係なのです。

■ソフトウェアテストとマインドマップのちょっとイイ関係

開発作業では,各局面でUMLやフローチャートを描いて意図や設計,構造といったものを煮詰めていきます。これらは言ってしまえばお絵かきですが,お絵かきを繰り返すことで,最終的に洗練された仕様なりプログラムができあがります。
ところが,テストについては本書執筆当時はあまりお絵かきはされてきませんでした。テストケースをExcel等のテンプレートに直接書いているのがほとんどです。しかしこれはUMLやフローチャートを書かずにいきなりプログラミングしてしまうようなものです。よほどスキルが高い人で無い限りできあがった代物の品質は想像できるのではないでしょうか。

マインドマップは,テストの作業におけるお絵かき,つまり一種のモデリング支援ツールとして機能します。これが,ちょっとイイ関係になる理由です。

■マインドマップによる効果

マインドマップをこの「よく考える」という部分に活用すると,どのような効果が得られるでしょう。3つほど挙げてみます。

  1. マインドマップの持つ一覧性により,関連関係がわかりやすくなる
        この一覧性,言い換えればバードビューという特性は,テストにおいて実に大きな効果を与えます。テストは常に“網羅性”を考えながら行っていきます。カバレッジという言葉を聞いたことがあるでしょう。ドキュメントに関する網羅,コードに関する網羅,機能に対する網羅,要求に対する網羅,それぞれの組み合わせにおける網羅などなど挙げればたくさんあります。この網羅を考えるとき,マインドマップの一覧性が強力にサポートしてくれます。Excelシートに直接,という方法ではこうはいきません。

  2. マインドマップに描かれたキーワードから,新たな気付きを得ることができる
        良いテストは,ある意味“どれだけバグの影に気がつくか”が勝負です。ドキュメントからいくつものキーワードをマインドマップに描いていると,ある時ふと「キーワード間の関係情報」に気がつくことができます。ドキュメントの最終頁に書かれていたことが,最初の方に影響を与えていたが気がつかなかったという経験があるでしょう。これを防ぐことができます。また「本来マインドマップに描かれるはずのキーワードがない」ということに気がつくこともあります。これが仕様の抜けであったりする場合が多いです。

  3. マインドマップを描いていると,自然に情報が整理されてる
        マインドマップを描いていると,“本当に必要な情報”だけが描かれていくようになります。そして,その情報は自然と階層構造で描かれるなど,意識せずに整理が行われていきます。何回かマインドマップを整理していくことでテストすべき情報が階層化され,テストケースを検討する際にカテゴライズしやすくなります。また階層化されることで,テストケースの直交性の検討も行いやすくなります。

これら以外にも,描いたことを思い出しやすいとか,いろいろと効果を得ることができます。なにより,延々Excelシートとにらめっこしているより,絵を描くことで作業が楽しくなるという効果もあります。楽しくなってくると気分もノってくるので,テスト作業もサクサクと進めることができます。私自身,マインドマップでテストを考えていると,非常に楽しく,またのめり込むことができるので,結果としてテストケースの品質も上がっているように思います。

■おわりに

以上本当に簡単ですが,ソフトウェアテストとマインドマップのちょっとイイ関係について説明を行いました。テストにおける「よく考える」プロセスは非常に大変で疲れます。このようにマインドマップを活用することで作業の品質を向上し,また作業自体を楽しくすることも可能です。

Blogをリニューアルしました

ふとBlogをリニューアルしてみました。

といいますのも,使っているレンタルサーバでの簡単インストールサービスがMovable Typeをサポートしなくなったことが理由です。アップデートも結構大変だったってのもありますね。

セキュリティのこともあったので,思い切って別のシステムに変えてみましたが,レイアウトテンプレートを見つけるのに骨が折れますね。デザインセンスが皆無なのでこういうときに困ります。

ここのところあまり更新をしていませんでしたので,これをきっかけにペースを上げていこうと思います。

MM本 第I部Chapter2「マインドマップって何?」についてのあれこれ

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の7日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回は第I部Chapetr2「マインドマップって何?」を取り上げます。このchapetr2では,マインドマップの基本を解説し,携帯電話に搭載されていたような割り勘ソフトを対象に適用例を解説しています。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■マインドマップって何?

「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」という書籍名なので,当然のことながらマインドマップを使います。今でこそマインドマップはテストに関わる方でも使われるようになりました。WACATEなどの勉強会に行くと当たり前のように使っている光景が見られますが,当時はマインドマップって何?それおいしいの?状況でした。

マインドマップは次のようなものです。

  • トニー・ブザン氏によって開発された記法
  • 紙の中心にテーマを描き,放射状に広がりを持たせながら思考に沿って描く
  • 絵や色を多用する
  • 12のルールに沿って描く(現在は12でないかもしれない)
  • ノート術としてだけでなく,発想法としても威力を発揮する

実例についてはイメージ検索をしていただくとすぐに見つけられるでしょう。

■マインドマップをテストに使って得られる効果

マインドマップをテストに使ったときに得られる効果は様々ですが,本書ではマインドマップを描くことでベテランが頭の中で自然とできている「仕様を咀嚼し,様々な可能性を整理してからテストケースを作成する」ということをマインドマップを描いてもらうことで作業抜けを防止するということがあります。

またマインドマップを描くことで,自分の思考が絵として表現されますが,それが可能となることで次のような事ができるようになります。

  • 自分の考えをセルフレビューできる
  • 自分の考えを人に見せることができる

特に新人さんなどはまだ自分の考えをまとめたり人に説明することが苦手です。これを克服するためのひとつの助けになります。また,先輩としても歳が離れた新しい部下の思考を把握するのには時間がかかります。絵として表現されるとこで,部下が考えたことをより理解し,適切なアドバイスやコーチングが可能となる訳です。

普段,家族や仲の良い友達であってもちょっとした理解誤りで喧嘩になってしまうこともあるでしょう。より緻密に物事を検討する必要があるテストの作業においても同様で,こういったツールを活用することは認識のすれ違いを防止するために非常に有効です。

■おわりに

以上Chapter2についてはマインドマップというツールの解説になってしまうため,本記事であまり言及することはないのですが,テストという作業に対してマインドマップをどのような意図で適用しようとしているのかをしっかりつかめるよう読み進めていただくといいと思います。

MM本 第I部Chapter1「ソフトウェアテストって何?」についてのあれこれ

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の6日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

いつになったら本の内容について書くんだという事を言われそうなので,各章についてポイントや補足をしていきたいと思います。今回は第I部Chapetr1「ソフトウェアテストって何?」を取り上げます。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■ソフトウェアテストって何?

筆者は所属企業の社内研修やコミュニティの勉強会にて,初級レベルの内容を話す際にまず最初に「皆さんの考えるソフトウェアテストを説明して下さい」と問いかけます。そうすると,ほぼほぼ十人十色の答えが返ってくるか,「バグを見つけることです」という単一の答えが返ってきます。前者はその組織でソフトウェアテスト技術や作業の概念が統一されていないことを示しますし,後者は概念としてあまりに狭い単純作業として認識していることを示していると考えています。

ソフトウェアテストは大学でほとんど教えられません。おそらくOJTでもテストについてはほとんど教えられないでしょう。ですから初級者がこのような答えを返してしまうことはしょうがないのだと思います。

ですが実際にはソフトウェアテストという業務はとても創造的だし高度な技術を要求されます。また,バグを見つけるだけという狭い目的のために行われるものでもありません。ですから,先ほどの答えが返ってくる状況というのはそれだけで問題を抱えているということになります。

Chapter1ではこの問題について,語りかける内容となっています。

■ソフトウェアテストとは何のためにやるの?

Chapter1では「ソフトウェアテスト」の定義を紹介するのではなく,なぜやるのか,どういった意義があるのかという,作業面での動機やモチベーションに重きをおいて解説しています。読み進めていくうえでくれぐれも気をつけて欲しいのは,本書はテスト技術を学問的に解説するのではなく「テストという仕事や作業を理解してもらう」ことを重視していますので,〇〇技法を学ぶという必殺技主義にならなず,泥臭い作業イメージを持ちながら読み進めていただくのが良いと思います。

さて,Chapter1では著者らのオリジナルの「意義」として次を定義しました。(定義を定義した訳ではないのでご注意下さい。)

ソフトウェアテストを行う意義
『ソフトウェアテストを行うと,ソフトウェアが作られていく過程で入り込んでしまう“バグ”を発見することができ,そのバグを開発者が修正することによって,ソフトウェアを利用者が安心して利用することができるようになる。また,出荷後にバグが出ないことで,ソフトウェアの回収と修正に必要なコストを削減し,企業のイメージ低下,ひいては倒産を防ぐことができる。』
(引用:マインドマップから始めるソフトウェアテスト p.20より)

定義を紹介することは簡単なのですが,それだけでは不十分と考えています。こういった意義を考えてもらうこととそれを共有し方向付けすることこそがテストに取り組む前に必要なことです。個別のテスト技術はそれによって選択していけばよいと思います。

■ソフトウェアテストの作業とは?

Chapter1ではVモデルを例に取り,開発工程とテスト工程を解説しています。
ここで大切なのはコンポーネントテスト,統合テスト,システムテストといった大きいレベルでのテストプロセス(正確にはテストレベル)にさらに細かいプロセスがあるということです。先に挙げた3つの〇〇テストはテストレベルと呼びますが,そのテストレベルごとにサブプロセスとでもいうプロセスがあります。

『テスト工程に対応する開発工程の開発成果物である仕様書と,開発プロジェクト全体に関する関連文書を入力情報とします。その入力情報に基づいて「仕様分析」→「テスト計画」→「テスト設計」→「テスト実装」→「テスト実行」→「テスト報告」という順番で作業を行います。』
(引用:マインドマップから始めるソフトウェアテスト p.30より)

ここで基礎知識がある方は「おや?」と思うかもしれません。おそらく引っかかるのは仕様分析という言葉とテスト計画でしょう。少し補足してきます。

ISTQB等の体系では仕様分析ではなくテスト分析と表現されることが多いですが,本書では意図的に仕様分析という言葉を使っています。執筆当時はテスト分析という言葉自体があまり普及していなかったため,テスト全体やテスト結果に対しての分析をテスト分析とイメージされる懸念があったからです。明確に仕様書の類いに意識を向けてもらうために,敢えて仕様分析という言葉を使っています。注意を払ってもらえればと思います。

また,テスト計画については「テストにも計画がある」ということを強く認識してもらいたかったため取り上げています。実際,現場の作業ではざっと仕様を確認しその後の作業計画を立てるということがよくあると思います。ただし,単なるスケジュールを引くくらいのことしかされていない現場も多いので,そうじゃなく,テストはしっかり計画的にやるべき仕事であるということを明確に示しています。こういった意図があることを理解していただくと,本文を理解しやすくなるのではと思います。(今じゃ計画立てるのは当たり前と思う方も多いですが,当時はテストに計画があるなんてほとんど認識されていなかったのです。当然テスト計画書なんてのもほとんど作られていませんでした)

■おわりに

今回はChapter1についてポイント紹介と補足をしました。出版してから8年も経つと,記述内容と現在に齟齬が生まれますね。出版されてから長い本を読むとき,その内容は当時の常識や事情に合わせて書かれたものであると理解しながら読むとよいのではないかと思います。

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MM本の勉強会 「マインドマップ読書会」

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の5日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回はMM本そのものではなく,MM本を使った読書会活動についてご紹介します。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■長崎IT技術者会SIG「マインドマップから始めるソフトウェアテスト読書会」

このAdvent Calender を書いている最中,ありがたいことにMM本を使った勉強会が開催されています。提案者からMM本を使った若手中心の勉強会を開催したいという相談を受け,そうであればSIGという形でやってみてはどうかとおすすめしました。

「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」の読書会です。 『初心者かつ20代のエンジニア限定』のイベントです。 ※年齢で分けることに不満を感じる方、すみません。 初心者同士のディスカッションを中心としたいため、ベテラン層の方々の参加をご遠慮いただいております。ただし、 20代としていますが年齢はあくまで分かりやすいボーダーとして示しただけですので、業界での経験やテストに関する知識などから初心者と言われる方はぜひご参加くださ い。(自分からの招待は、面識があってかつある程度若手だと思った方に送ってい...

まずは参加メンバーを募集する,説明会的な第0回が開催されました。集まったメンバで,今後の方針を議論し次のようにまとまりました。

  •  第II部(3章から9章)を読書会の対象とする
  •  各章の担当を決めて,その人が内容をスライドにまとめ,当日解説する
  •  当日まとめ担当ではないメンバも事前に該当の章を読んで議論したいリストを作っておく
  •  時間は2時間とし,前半をスライド解説&議論,後半を手を動かす&議論とする
  •  後半のためのテストベースは別途選定
  •  全6回として10月から3月まで,ひと月に一回集まる

この方針で,現在月に一度のペースで勉強会を実施しています。

本Blogでも第0回にについてレポートを書いていますので,詳細についてはそちらをご参照下さい。

 長崎IT技術者会の勉強会として,新たに「マインドマップ本読書会」が企画され,その第0回が実施されました。 ★第0回マインドマップ本読書会  http://nagasaki-it-engineers.connpass.com/event/18001/ この勉強会は『初心者かつ20代のエンジニア限定』を対象としています(実際には,テスト技術分野の初級者であればOK)。「ソフトウェアテストのいろはを知りたい」「テストの基礎から勉強したい」「テストの勉強を始めて間もない」という人たちで集まって,本の読破&日々のテスト業務の改善をめざす勉強会ということです...

■これまでの開催と内容と資料

これまでに実施されている勉強会はconnpassにイベントが立てられています。また資料についてもページ内からリンクが張られていますので,参照されると良いでしょう。

# 概要 「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」の読書会です。 「ソフトウェアテストのいろはを知りたい」「テストの基礎から勉強したい」「テストの勉強を始めて間 もない」という人たちで集まって、本の読破&実践を通して日々のテスト業務の改善をめざす勉強会です。 # 勉強会の進め方 * 発表者: 自分の担当の章について、自分の理解でまとめた簡単なスライドを作成してくること。 * 聞く人: 事前に本を読んで疑問点をリストアップしておく。疑問点はFacebookのイベントページに投稿しておくこと。 * 発表(10分...

# 概要 「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」の読書会です。 「ソフトウェアテストのいろはを知りたい」「テストの基礎から勉強したい」「テストの勉強を始めて間 もない」という人たちで集まって、本の読破&実践を通して日々のテスト業務の改善をめざす勉強会です。 # 勉強会の進め方 * 発表者: 自分の担当の章について、自分の理解でまとめた簡単なスライドを作成してくること。 * 聞く人: 事前に本を読んで疑問点をリストアップしておく。疑問点はFacebookのイベントページに投稿しておくこと。 * 発表(10分...

# 概要 「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」の読書会です。 「ソフトウェアテストのいろはを知りたい」「テストの基礎から勉強したい」「テストの勉強を始めて間 もない」という人たちで集まって、本の読破&実践を通して日々のテスト業務の改善をめざす勉強会です。 # 勉強会の進め方 * 発表者: 自分の担当の章について、自分の理解でまとめた簡単なスライドを作成してくること。 * 聞く人: 事前に本を読んで疑問点をリストアップしておく。疑問点はFacebookのイベントページに投稿しておくこと。 * 発表(10分...

■おわりに

今回はMM本を使った,現在活動中の勉強会についてご紹介しました。これから勉強会を開催しようと考えている方がもしいらっしゃいましたら,勉強会のメンバーにアクセスし,やり方など相談に乗ってもらう他,講師として協力していただくと良いのではないかと思います。もちろん,筆者にご連絡いただければ,相談に乗りたいと思いますので是非お気軽にご連絡下さいね。

MM本の全体構成とおすすめの読む順番

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の4日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回は「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」の全体構成について簡単に紹介します。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■MM本の全体構成について

MM本の全体構成ですが,次のようになっています。

  • 推薦の言葉
  • はじめに/本書の対象読者
  • 第I部:マインドマップの基本
  • 第II部:マインドマップをソフトウェアテストに使ってみよう
  • 第III部:デジタルツールを使ってみよう
  • 第IV部:本書のまとめ
  • ブックガイド&参考文献リスト
  • INDEX
  • あとがき

本書のメインとなるのは「第II部:マインドマップをソフトウェアテストに使ってみよう」です。すでにテストやマインドマップについて基礎知識がある方はいきなりこの章からお読みになるかと思いますが,(それでも問題ないのですが)読んで欲しい順番をお伝えしたいと思います。

■池田的,おすすめ読む順番

本書はソフトウェアテストとマインドマップの2つの要素があるため,全体のコンセプトだったり狙いを理解してから読み進めた方が理解が深まりますし混乱しません。その目線で池田的なおすすめ順番を考えてみました。

  1. はじめに/本書の対象読者
  2. 推薦の言葉
  3. あとがき
  4. 第IV部:本書のまとめ
  5. 第I部:マインドマップの基本
  6. 第II部:マインドマップをソフトウェアテストに使ってみよう
  7. 第III部:デジタルツールを使ってみよう
  8. ブックガイド&参考文献リスト

1~3についてはそれほど量はありませんが,全体のコンセプトや執筆方針,著者らの想いが書かれています。まずここを読むことで,後のメインの文章を読む際に「意図」や「コンテキスト」を理解しやすくなるため,より深く理解いただけるようになります。

また,「推薦の言葉」はデバッグ工学研究所の松尾谷徹先生にいただいたのですが,(サービスはあるとしても)客観的に本書のセールスポイントが示されています。このため,読者が読み進めるにあたっての指針を得ることができます。個人的にこの推薦の言葉で気に入っている文章があります。

エキスパートは「テストの段取りとしての計画」を作り上げ,顧客やメンバーに対して説明し,理解し,納得してもらうことが必要です。
(引用:マインドマップから始めるソフトウェアテスト 推薦の言葉より)

さて,4番目に本書のまとめをもってきています。
第I部~第III部までの内容を簡単にまとめていますので,概要を頭に入れるのにはうってつけと思います。本来は最後に読んだ内容を整理するのですが,最初に読んでおくのもおすすめです。

第I部~第III部ですが,基礎知識がある方にもできれば第I部から読んでいただきたいと思います。第I部第一章はソフトウェアテストの基礎について解説していますが,筆者が想定しているテストの基礎を知っていただき,ご自身の知識とのすりあわせをしていただいた方が第II部を読み解きやすくなります。特に,「テストの意義」について著者らがどう考えているのかご理解いただいた方が良いと思います。
第II部はメインとなりますが,テストプロセスをベースに章立てしています。現在はISTQBなどが普及しつつあるため,一部プロセスの並びに違和感を感じるところもありますが,基本的にはISTQBやIEEEをベースにして,段取り重視で解説しているとご理解いただくのが良いと思います。
第III部はもしデジタルツールについて興味があれば,という程度で良いと思います。池田としてはマインドマップについては,少なくとも発散目的に使う場合は手書きを推奨しています。また,書籍執筆時点ではツールの選択肢が少なかったこともあり,ページ数としては少なくなっています。

最後にブックガイドです。
本書は初級者向けと位置づけています。このため,本書を読み終えた後にさらに知識を得ていくために他の書籍を読む必要がありますが,無数にある本から一冊を選ぶのは大変です。著者らの(その当時の)おすすめを紹介していますので是非参照いただき,指針としていただければと思います。

■おわりに

今回は全体構成と読む順番について解説しました。これから読み始める方の参考になればと思います。

MM本のコンセプト

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の3日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回は「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」,通称MM本のコンセプトについて簡単に紹介したいと思います。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■MM本のコンセプト

2日目の記事に書いたとおり,書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」は,ソフトウェア・テストPRESSの記事をベースにして執筆されました。

その執筆にあたってはコンセプトを2つ作りました。

  • テスト全体の作業工程を知ること
  • テストエンジニアの思考過程を知ること

当時はテストというと「テストケースを作って消化すること」という認識が一般的でした。「テストは誰でもできる」とか,「テストは新人の仕事である」とか,本来とても難しい仕事であるにも関わらず軽んじられている現場がとても多いと感じていました。その理由をいろいろと考えた結果,(執筆時点では)「作業の全体像が知られていない」ことと「どういったことを考えながらやるべきなのか俗人化している」といったことが問題の1つなのではないかと思い立った訳です。ですから,そういったところを,「テストという仕事を丸投げされて困っているテスト初級者の方に」わかりやすく伝えたいと思いました。そこからコンセプトが導かれています。

■テスト全体の作業工程を知ること

目次をみていただければわかると思いますが,メインである第二部の章構成はテストプロセスをベースとして,分析・計画・設計・実装・実行・報告を章としています。それぞれの章では,行うべき作業とマインドマップの活用例を解説しています。読者にマインドマップをなぞってもらうことで,自然に作業や段取りを理解してもらうことを狙っています。今でこそテストライフサイクルプロセス(TLCP)については広く知られるようになりましたが,当時はまだまだ知られていなかったため,概念ではなく,段取りベースで解説しています。これから読まれる方は是非「工程」「段取り」を意識していただければと思います。

■テストエンジニアの思考過程を知ること

さて,当時はテストエンジニアという言葉もまだまだ知られていませんでした。テストは誰にでもできて丸投げできる仕事という認識ですから,なかなかノウハウが組織的に蓄積されていきません。そうすると,テストが上手い人と下手な人の差がはっきりとしてしまいます。なんとか上手い人のまねをしたいのですが,そのノウハウはその人に閉じています。テストが上手い人はどのようなことを考えどのようなことをしているのか,周りにはわからないわけです。それを知る・教えてもらうための1つの手段としてマインドマップを利用することができます。本来マインドマップはテスト設計のモデリングツールとして利用しますが,もう少し適用範囲を広げ,ライフサイクルのそれぞれにおいてマインドマップを見せることで,上手い人つまりテストエンジニアの思考過程を見せるということをしています。読者は是非,マインドマップをしっかりと観察してみて下さい。紙面のマインドマップから著者がどのような思考過程をたどったかを想像するのもいいトレーニングとなります。

■おわりに

「マインドマップから始める」とありますが,もちろんマインドマップ自体も大切なのですが,実はマインドマップを使ってもらいながらテストという仕事の全体像を知ってもらうことを意識して書いた本です。読書の前には「はじめに」「後書き」を読んでいただき書籍の狙いを理解していただいた上で,読書を始めていただけるといいかなと思います。

MM本が出版されるきっかけとテストPRESSの記事概要

「マインドマップから始めるソフトウェアテストAdvent Calendar 2015」 の2日目です。

ソフトウェアテストに関する書籍「マインドマップから始めるソフトウェアテスト(2007年発行)」をテーマにしたカレンダーです。発行された2007本書ですが,当日のいろいろを振り返りつつ、ポイント紹介や補足をしていきます。・一人企画なので無理せずゆるくやります・仕事の関係で記事の公開が前後することがあります・今後読書したい方や勉強会したい方を意識して書くようにします

今回はカレンダーのテーマともなっている「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」について,出版までのあれこれを想い出してみたいと思います。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画です。

■執筆のきっかけと出版まで

マインドマップから始めるソフトウェアテストは鈴木三紀夫さん(当時TIS)と共著という形で出版されました。出版されたといっても,実はそれはいきなり執筆された訳ではなく,ソフトウェアテストの専門誌(ムック)であるソフトウェア・テストPRESSの記事がきっかけです。

JaSST’06 in Osaka にて「小さな改善シリーズ1:三色ボールペンとマインドマップの活用」という発表をしたのですが,折角発表資料としてまとめたのだから記事にできるといいねと話をしていました。そうして当時雑誌企画に協力していたソフトウェア・テストPRESSの vol.3 に「マインドマップから始めるソフトウェアテスト設計」という記事を書くことになりました。以降,何回か「マインドマップから始める・・・」という記事を書くことになります。

■ソフトウェア・テストPRESS vol.3 「マインドマップから始めるソフトウェアテスト設計」

この記事はマインドマップ自体の解説から始まり,今で言うテスト設計の作業をマインドマップで実施した場合のあれこれについて解説しています。この時代はまだテスト設計という言葉も一般的ではなかったですし,なにかしらの技法が広く使われていたということもなかったです。従って,マインドマップを使ってみてどうだったかというのを実際に利用している(教えた)方から声をいただき紹介しています。久しぶりに読み返してみましたが,今でも初めてマインドマップによるテスト設計に取り組もうとしている方への情報として有益でないかなぁと思います。俗に言うCPM法(コピー・アンド・モディファイ法)について,多分一番最初に(当時言葉はありませんでしたが)言及したのもこの記事だったように思います。発散と収束という言葉も今では当たり前に使いますが,この記事以降使われるようになったと認識しています。

■ソフトウェア・テストPRESS vol.4 「マインドマップから始めるテストケース設計」

vol.3の記事が著者の想像以上に反響を呼び,vol.4でも記事を書くことになりました。vol.4では読者からの2つの質問に回答する形をとっています。

1つ目は「マインドマップからテストケースを作成するには」です。マインドマップでテスト設計を実施するということは前回の記事で理解したものの,マインドマップでの設計結果をどのようにして具体的なテストケースに落とすかは解説していません。テストケースそのものについての解説し,マインドマップからテストケースに落とす手順を解説しています。マインドマップからテストケースに落としかたが今ひとつよくわからないという方は是非この記事を読んで実際に試していただければと思います。この記事のために読み直していますが,このレベルで詳細に解説している記事ってあまりないのかもしれません。

2つ目は「マインドマップツールを活用するには」です。この記事ではFreemindを取り上げています。個人的には”発想”についてはPCツールを利用することは推奨していませんが,うまく利用すると効果が上がります。ただ使いこなすのは難しいのでその注意点に触れつつ簡単に紹介しています。

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この記事も好評だったため,いよいよ書籍化ということになりました。JaSST東京の情報交換で技術評論社の担当さんと会話をした一週間後にGoがかかったのはとてもびっくりしましたが,同時にとっても嬉しかったのを今でも忘れられません。これも機会を与えて下さった技術評論社の担当さんと共著者の鈴木さんのおかげですね。

■ソフトウェア・テストPRESS vol.5 「マインドマップから始めるテストケース設計 実況セミナー」

MM本はvol.3およびvol.4の記事をベースに増筆して出版されました。このvol.5での記事はTEFで募集したMM本発売記念勉強会のレポート記事となっています(発売記念記事みたいなものですね)。これまでの記事をみんなでやってみようという主旨なのですが,この記事をベースに研修をしやすいようにと構成しています。解説記事ではないので記事の内容には触れませんが,マインドマップによるテスト分析設計演習をやってみたいという方は一読いただけると参考になるかもしれません。たぶん,そのままなぞっていただくだけで2h程度の演習は実施できるのではと思います。

■まとめ

簡単にマインドマップが発売されるまでのきっかけや経過について紹介しました。ここまで読んだ方はお気づきかもしれませんが,書籍化するにあたって泣く泣く落とした内容もあります。もし可能であればテストPRESSも入手していただき,合わせて参照していただくとより深く理解いただけるのではないかと思います。なお,現在は総集編が入手しやすいですしpdfもついてきますのでおすすめです。

その他エピソード的な物もあるのですが,それについてはまた別の機会にと思います。

マインドマップから始めるソフトウェアテスト Advent Calrendar 2015

2007年に鈴木三紀夫さんと「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」という本を執筆しました。

執筆してから実に約8年が経つわけですが,未だにソフトウェアテスト技術分野での初心者向け書籍として推していただける方がいらっしゃったり読書会を開いて下さったりする方がおられ,著者冥利に尽きます。 ただし,残念ながら本書はすでに絶版扱いになっておりまして,市場在庫しか残っていません。また手元の確保していた新品も各所に献本してしまったために,自分用のものしかありません。このため,中古での入手になってしまいます。ときおり電子書籍版のお問い合わせを受けることがありますが,是非技術評論社に要望いただければと思います。声が多くなれば検討いただけるかもしれません。

執筆した当時はテスト分析設計にツールを使うと言うことがまだまだ普及していませんでしたが,今ではマインドマップが当たり前のように使われるようになりました。テスト分析設計は高度な見識と適切な道具を使わなければうまく実行できないという認識が当たり前になったと感じていますが,後者であるツールについて本書は一定の貢献をできたのではないかと思っています。

そういったわけで,フィードバックなどこれまでの様々いただいたご恩に対するご恩返しの一手段としてマインドマップから始めるソフトウェアテスト(池田主観) Advent Calrendar に取り組んでみたいと思います。話題は様々になりますが,どうぞ業務のひと休憩の気分転換記事としてご利用いただけたらと思います。

※ご注意:本Advent Calendar はあくまで池田の個人企画ですすめることにします。

SQuBOK V2 読破会で Advent Calendar 2015 !

気がつけば2015年も12月となりました。
街に出ればクリスマスツリーが競うように建ち並び,クリスマスソングが流れています。
月日が流れるのは本当に早いものですね。

早いといえば,SQuBOK V2 読破会 の活動も一年を迎えることになります。
2015年1月に月に一度の定例会の初回を迎え,この12月でSQuBOK V2 を読破の見込み,つまり活動が一区切りということになります。その区切りを飾ろうと Advent Calendar に取り組むことになりました。クリスマスまでメンバが交代で記事を書いていきますので,どうぞお楽しみ下さいませ。

さて,この初日ですが,そのSQuBOK V2 読破会 の活動について簡単に紹介したいと思います。

■SQuBOK V2 読破会 とは
SQuBOK V2 読破会 とはその名の通りSQuBOK V2 を読破しようという会です。
すでにSQuBOKをお持ちの方はよくわかると思いますが,カタログであったり辞書であったりというような趣であり,おおよそ読み物として楽しんで読む類いのものではないと思うことでしょう。ただ,これだけソフトウェア品質技術を多数,ぎゅっと凝縮して,(厚いとはいえ)コンパクトにまとめられたものはありません。
ですから,月並みな表現ですが「ソフトウェア品質技術」の宝石箱のような本と言えましょう。

そうしたSQuBOK V2 ですが,勉強になるとはいえ読み物ではありませんから読むのは一苦労です。いつしか重しになりそうですがそれではもったいない・・・

というわけで,1人だと途中で挫折してしまう読書も何人かで集まって読書会をやれば読破できるのではないか?ということで,SQuBOK V2 読破会 が誕生したわけです。

■どのような活動?
活動は月に一度の定例会です。

  1. おさらい,連絡
  2. 今月の一冊紹介
  3. 音読による輪読
  4. 懇親会

まず最初に前回までのおさらいや活動の連絡事項を周知します。その日は何ページから読み進めるかや何かの活動に対する提案について相談をします。

次に今月の一冊紹介ということで,各自がこの一月に読んだ本でオススメのものを紹介します。普段自分が読まないような書籍も他のメンバーから紹介され,そういった範囲外の書籍を知ったりそれを実際に読むことで新たな知識の獲得ができます。
これまでに実に100冊近くが紹介されていて,これはある意味SQuBOK V2 読破会 がおすすめする100冊,みたいなものなのかもしれません。

そしてメインの輪読です。ここで大切なのは一字一句読み飛ばさないように「音読」をするということです。個人による読書は黙読となりますが,このとき,どうしても読み飛ばしてしまったり斜め読みしてしまったりして,折角の内容が頭にはいってきません。音読では読書から逃げようがないので,つまりすべての内容が頭に入ってきます。また,怠け心が出そうにもなりますが,輪読なのでそれも制限されることになります。音読は喉が疲れたりするのですが,口が動くことで脳も活性化されていますから,黙読の何倍もの勉強になっているのではと思います。また,頭から飛ばさずに読んでいきますので,自分の興味が薄いところもしっかりと読むことになります。よい効果しか無いように思います。

ある程度の塊で読んだら,そこで議論をします。ここはこうではないのではないか,こういったことも書いてはどうか,参考文献にこれを追加したい,など記述をよりよくするためにはという観点でディスカッションをします。もちろん興味ごとに寄った議論も発生するわけですが,わかりやすいわかりにくいという単純な議論にはしません。

ちなみにtypoも見つかることもあり,それらは策定部会にフィードバックさせていただきました初刷りから二刷になって,typoの修正に貢献ができたことはメンバのモチベーションを高めました。

最後に懇親会です。
議論を踏まえてさらに自由な議論をすることで,より頭に叩き込んだり,さらに発展的な議論をすることができます。もちろんメンバーの交流にもなり,今では素晴らしいチームワークが醸成されています。

■SQuBOK V2 読破会 Advent Calendar 2015 !
SQuBOK V2 読破会では活動の区切りとなるこの12月に Advent Calendar 2015 に取り組みます。
これまでの定例会にてメンバー達は様々な品質技術を知り,議論を通して知見を深めてきました。その成果を記事という形でアウトプットしていきます。

メンバーそれぞれの個性を持った記事を,どうぞお楽しみ下さい!

[amazonjs asin=”4274505227″ locale=”JP” title=”ソフトウェア品質知識体系ガイド -SQuBOK Guide-(第2版)”]

NaITE#8 でショートワークショップ「テストスキルを計ってみよう」を実施しました

NaITE(長崎IT技術者会)の第8回勉強会にて「テストスキルを計ってみよう」というショートワークを実施しました。

ソフトウェアテストの勉強会が全国各地で開催されるようになり,また書籍やWeb記事も沢山増えました。また,第三者検証会社も増えました。 こうした流れを受け,ソフトウェアテスト技術を学ぼうと思い立ったものの,どういった事から手をつけたら良いかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか 。 今回はそんな方々に向けて,テスト技術を学ぼうと思い立ってから約2年,勉強やスキルアップにとりくんできた藤沢耕助さんに,「ソフトウェアテストことはじめ」と題し て,自身がどういったことに悩み取り組んできたかを...

本ショートワークでは,自分のソフトウェアテストのスキルを計ってみようということで,世の中にある自己診断に使える技術の概要を紹介した後に,Test.SSFを使って簡単に自己診断し,参加者で議論するということを行ないました。ソフトウェアテスト技術やスキルは漠然としたイメージしか持っていない方が多いですが,ある尺度を使って自分を診断し,それを身の回りに主張し,それをコンテキストとして共有して議論するのはとても有意義だったのではないかと思います。お互いの得手不得手がわかりますので,お互いへの情報提供やアドバイスがより的確に実施できたのではないかと思います。

普段自分をテストエンジニアと呼称している人でも,「特に〇〇が得意なテストエンジニア」という自己紹介ができるようになると,チームを組む人との情報共有もはかどっていきます。また,自身に足りていないことを自覚することでその後のスキルアップに生かすことができます。

今回のショートワークでやったようなことはすぐにできますので,是非取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

※後日談
本発表とTPI NEXT勉強会での発表および発表資料を「そのまま忠実に文字起したレベル」の記事が当日の参加者により「私が調べてまとめた」と作成され,その人の名義である同人誌へ 投稿→掲載されるという悲しいことが起こりました。自身の発表や資料を他の方の発表や資料で参照していただけるのはとても嬉しいことなのですが,人の発表を文字お越ししたものを私が考えたり調べたりしてまとめたものだよと公開する行為は盗用とか表現できないもので,遺憾に思います。

盗用されるくらいにはお役立ちできたのかな?と無理矢理前向きに考えようとはするものの,自身の発表がこういった形で使われると正直発表したり登壇したりというモチベーションが無くなりますね。。。また,掲載された同人誌はそのシリーズとしても区切りとなる記念すべき号であり深い思い入れがあるだけに残念至極です。

当然ながら,ご本人から事前に相談もありませんでしたし,文字起し記事を他人名義で発表することを了解してもおりません。コミュニティでの発表資料は論文などに比較して著作権についてはゆるやかな印象を持っていますしそれがコミュニティの良いところのひとつだとは思いますが,自身は汗をかかずに人が作った物を盗用し自身が目立つために自身の名義で世間に発表するという,コミュニティや発表者を愚弄し貶めたることは決してやってはならないと思います。

発表者にとって声に出したことや発表資料というものは,自身の時間を使って調べ考えまとめて形にした,いわば自分の子供のようなものです。それがある日さらわれて別の姓名をつけられ余所の子にされてしまったというのは様々な感情を持ちます。

今回自身に起きてしまったことはもうどうしようも無いのですが,少なくとも自分は今後同じような思いをさせる方を作らぬように著作権を大切にし,コミュニティと発表者への敬意を忘れないようにしようと強く考えます。

テストプロセス改善技術概要およびTPI NEXT 日本語版 ざっくり概要 資料を公開しました

以前告知したTPI NEXT 日本語版 発売記念勉強会を予定通り9/28定時後に開催しました。当日は翻訳者である薮田さんと湯本さんにゲストとしてお越しいただ,参加者も定員を超える人数で,総勢40名ほどで盛会となりました。

2015年9月20日にTPI の新版であるTPI NEXT の日本語翻訳版が出版されます! この日本語翻訳版の出版を(半ば勝手に)記念して,勉強会を開催します! 勉強会は,これからTPI NEXT を読んでみようという方や活用しようという方向けの内容となります。 テストプロセス改善技術概要としてTPIおよびTMMiを簡単に解説した後,TPI NEXT のざっくり概要説明を行います。(内容は両方とも池田氏のBlog記事をベースとしたものとなります) 参加者には当日TPI NEXT 日本語版をお持ちいただき,説明時に一緒にページをめくりながら内容を追っ...

レポートは後日改めて書きたいと思いますが,取り急ぎ,当日の資料を公開しておきます。

勉強会後に読み始めたという方も多いかと思いますので,その参考になればと思います。

テストプロセス改善技術の概要 from Ikedon



 TPI NEXT 日本語版は本当に読みやすいのでテストプロセス改善技術の勉強を開始する本としておすすめです。関連する書籍を合わせて入手し職場改善に取り組んで下さいね。書籍は以下のものの他,TMMIi FoudationによるドキュメントやJSTQBが公開しているISTQB-AL-テストマネージャのシラバスが参考となります。
  

 今回の勉強で扱わなかったCTPやSTEPについては以下の3冊を参考になるでしょう。その昔,TEFで勉強会が開催されたような気がするのですが,記憶違いかな? こちらも機会あればあらためて解説や勉強会ができればと考えています。